洞窟探検家とは何者?仕事内容・資格・収入から未踏洞窟探査の実態まで2026年最新解説
洞窟探検家とは、まだ知られていない洞窟や地下空間を探し出し、その内部を探査・測量・記録する専門家です。単に暗い洞窟を冒険する人ではありません。地質や地形、生物、水の流れを調べ、未知の地下世界を科学的な資料として残す役割も担っています。
2026年現在、日本では日本洞窟学会や日本ケイビング連盟などが洞窟調査、探検技術の普及、安全講習、ガイド育成に取り組んでいます。一方、洞窟探検家という職業には一般的な会社員のような決まった就職ルートや収入体系があるわけではありません。探検活動と研究協力、ガイド、講演、撮影協力などを組み合わせる働き方が実態に近いといえます。
この記事では、洞窟探検家の仕事内容、ケイビングとの関係、必要な資格や技術、装備、収入、ガイドとの違いを整理します。さらに、日本洞窟学会の安全指針や2026年の最新活動を踏まえ、洞窟探検家を目指すための現実的な道筋を解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 仕事内容: 未踏洞窟の発見、探査、測量、地下空間の調査、写真・映像記録など多岐にわたる。
- 資格・技術: 洞窟探検家全体を対象とする一律の国家資格ではなく、実践経験や専門技術、団体の認定制度が重要。
- 収入: 調査依頼、ガイド、講演、出版、メディア出演など複数の収入源を組み合わせるケースがある。
- 安全性: ロープ技術、装備管理、気象判断、救助技術、チームワークが欠かせない。
- 2026年の動向: 日本洞窟学会の大会でも、洞窟測量、地下水、生物調査、事故検証など幅広い研究が扱われている。
【洞窟探検家とは?】ケイビングの意味と仕事内容、冒険家との違い
洞窟探検家は、洞窟を実際に探検するだけでなく、未知の地下空間を発見し、その構造や自然環境を調査・記録する専門家です。
洞窟を探検する活動は「ケイビング(Caving)」と呼ばれます。また、洞窟の科学的研究を行う学問分野は「洞窟学(Speleology)」です。
日本洞窟学会の公式解説によると、ケイビングにはスポーツ的な探検だけでなく、地質図や過去の記録、地域住民から得られる情報を手掛かりに未発見の洞窟を探す活動も含まれます。
つまり、洞窟探検家の仕事は、身体能力を使った冒険と科学的な調査の両面を持っています。
洞窟探検家の主な仕事内容
具体的な仕事内容は、活動する洞窟や調査目的によって異なります。
- 未踏洞窟の探査: 地形図や地質情報、地域の聞き取りなどを参考に未知の洞窟を探す。
- 洞窟内部の探検: 横穴、竪穴、狭い通路、地下水路などを調査する。
- 洞窟測量: 距離、方向、高低差などを測り、洞窟の平面図や断面図を作成する。
- 地質調査: 岩石、鍾乳石、堆積物、洞窟の形成過程などを調べる。
- 生物調査: コウモリや洞窟に適応した生物の生息環境を記録する。
- 地下水調査: 水の流れや水質、地下水系の特徴を調べる。
- 写真・映像撮影: 暗所で洞窟の構造や自然環境を撮影・記録する。
- 調査報告書の作成: 探査結果を整理し、研究者や自治体などに提供する。
特に重要なのが、探検後の記録です。
未知の空間を発見しても、その場所の位置や形状、通路のつながりが記録されなければ、後続の研究に十分活用できません。
洞窟探検家は、発見者であると同時に、地下世界の情報を次の調査者へ引き継ぐ記録者でもあります。
冒険家・登山家との違い
冒険家は、特定の目的地への到達や困難な環境への挑戦を活動の中心にする場合があります。
一方、洞窟探検家は、まだ知られていない空間を発見し、調査し、その情報を残すことに大きな価値を置きます。
登山では山頂への到達が明確な成果になることがありますが、洞窟探検では奥へ進んだ結果、通路が行き止まりだったり、想定外の地下水路が見つかったりすることもあります。
そのため、予定どおりに進むことだけでなく、危険を判断して引き返す能力も専門性の一部です。
【未踏洞窟の探査・測量】未知の地下世界を調べる方法とは?
洞窟探検家の活動で特に専門性が高いのが、未踏洞窟の探査と測量です。
洞窟は地上から見える入口だけでは全体像が分かりません。地下に複雑な通路が続いていたり、複数の空間がつながっていたりするため、内部を調査して初めて全貌が明らかになります。
1.未発見の洞窟を探す
探査は、必ずしも現地で偶然入口を見つけるところから始まるわけではありません。
主な情報源は次のとおりです。
- 地形図や航空写真
- 地質図や石灰岩の分布情報
- 過去の洞窟調査記録
- 地域住民や土地管理者からの情報
- 地表に現れた陥没地形や水の流れ
- 既知の洞窟と地下水系の関係
日本には石灰岩地帯が各地に分布しており、鍾乳洞や地下水路など、調査対象となる地下空間が存在します。
ただし、洞窟を発見しても自由に入れるとは限りません。土地の所有者や管理者、自治体などへの確認や許可が必要になる場合があります。
2.洞窟内部を探査する
洞窟内部では、通路の広さや高さ、岩盤の状態、水の流れ、温度、湿度などを観察します。
探査対象には大きく分けて横穴と竪穴があります。
横穴
水平方向に延びる通路。狭い隙間や地下河川などが調査対象になる。
竪穴
垂直方向に深く続く空間。高度なロープ技術や安全管理が必要。
未知の通路を進む際には、地形や水の状態を慎重に判断し、チーム全体の安全を確保しながら調査を進めます。
3.洞窟測量を行う
洞窟探検の成果を学術的な資料にするうえで、測量は欠かせません。
日本洞窟学会の洞窟測量関連資料では、国際洞窟学連合(UIS)の測量基準や記号体系が紹介されています。
測量では、主に次のような情報を記録します。
- 通路の距離
- 方位
- 傾斜や高低差
- 通路の幅や高さ
- 岩盤や地形の特徴
- 分岐や空洞の位置
使用する機器には、コンパス、距離計、傾斜計などがあります。得られたデータを整理して図面にすることで、洞窟の構造を把握しやすくなります。
測量図は、後から行う地質調査や地下水調査、生物調査などの基礎資料になります。
4.調査結果を研究や社会に還元する
探査した結果は、個人の記録にとどめず、報告書や研究発表、写真、映像などにまとめられます。
日本ケイビング連盟の活動内容にも、新洞の探検・測量、未発見洞窟の探査、地下空間の調査、観光化に向けた調査、テレビ撮影への協力などが挙げられています。
自然洞窟だけでなく、防空壕や鉱山の坑道など、人工的に形成された地下空間の調査も活動対象です。
【洞窟探検に必要な技術・装備】専門家に求められる能力とは?
洞窟探検は、通常のハイキングとは環境が大きく異なります。
暗闇、低温、湿気、狭い通路、滑りやすい岩場、急な水位変化など、地上では想定しにくい危険があります。
日本洞窟学会も、探検技術だけでなく、装備の管理、気象や地質の知識、緊急時の対応、コミュニケーション能力を求めています。
身につけたい5つの専門技術
1.ロープワークと竪穴探検技術
竪穴では、ロープを利用した移動や安全確保の技術が必要になります。
SRT(シングル・ロープ・テクニック)など、洞窟環境に対応した技術もあります。使用する前には、地上で十分な訓練を受けることが前提です。
2.洞窟測量技術
コンパスや距離計、傾斜計などを使用し、地下空間の形状を記録する能力です。
正確な測量は、洞窟の全体像を把握するためだけでなく、後続の調査者が安全に計画を立てるためにも役立ちます。
3.地質・地形の知識
洞窟がどのような地質条件で形成されたのかを理解する能力です。
石灰岩の溶食、鍾乳石の形成、地下水の流れ、岩盤の状態などについて学びます。
4.緊急対応・救助技術
洞窟内で負傷者が出た場合、狭い通路や垂直方向の移動が救助の障害になります。
そのため、応急手当、救助計画、通信、ロープレスキューなどの知識が重要です。
5.チームワークと判断力
洞窟内では携帯電話が通じないことも珍しくありません。
自分の体力や技術を過信せず、仲間と情報を共有し、必要な場合には探検を中止する判断力が求められます。
洞窟探検に必要な基本装備
| 装備 | 主な用途 |
|---|---|
| ヘルメット | 落石や頭部の衝突から保護 |
| ヘッドランプ | 暗闇での視界確保 |
| 予備ライト・電池 | 主照明の故障への備え |
| 専用ウェア | 低温、湿気、泥などへの対応 |
| 靴・手袋 | 滑りやすい岩場での保護 |
| ハーネス・ロープ類 | 竪穴などでの安全確保 |
| コンパス・測量器具 | 方位や洞窟形状の記録 |
| 救急用品 | けがや体調不良への対応 |
| 非常食・防寒具 | 長時間の行動や待機への備え |
これらはあらゆる洞窟に一律で必要な装備ではありません。洞窟の形状や水の有無、活動時間、難易度に応じて選択します。
日本洞窟学会は、日本の洞窟の気温が概ね3~22℃の幅にあることを示し、濡れた場合の低体温症にも注意を促しています。
また、綿素材を避けた衣服、各人の予備ライト、非常食、救急用品、エマージェンシーブランケットなども安全装備として挙げています。
【洞窟探検家になるには?】必要な資格とおすすめの学び方
洞窟探検家を目指す人が最初に理解しておきたいのは、洞窟探検家全体を対象とする一律の国家資格が職業の入口になっているわけではないという点です。
実際には、ケイビングの経験を積み、技術講習を受け、調査や探検の実績を重ねて専門性を身につけていきます。
ただし、職業としてガイドを行う場合には、団体が設ける認定制度などが関係してきます。
日本洞窟学会で知識と経験を積む
学会では、洞窟学雑誌やケイビングジャーナルの発行、学術大会、講習会、洞窟巡検などを行っています。
個人会員は洞窟学やケイビングに関心を持つ人が対象で、学生や社会人が専門家と交流し、学術的な知識を深める機会があります。
2026年時点の公式案内では、一般の個人会員の年会費は5,000円です。入会には推薦者が必要で、近くに会員がいない場合は事務局に相談できます。
日本ケイビング連盟の認定制度を活用する
職業ケイビングガイドの育成、公認ガイドの認定、洞窟レスキュー隊員の育成、未踏洞窟の長期遠征などを事業目的に掲げています。
同連盟には、ケイビングガイドに必要な技術を難易度別に評価する認定制度があります。
認定者にはC-cardと呼ばれる認定証が発行され、上位クラスの認定者は、探検や調査を行える技術を持つ人材として位置付けられています。
ただし、これは同連盟による認定制度であり、国が発行する国家資格とは異なります。
洞窟探検家を目指すための現実的な5ステップ
ケイビングの基礎を学ぶ
初めは経験豊富な人が同行するツアーやクラブ活動などを通じて、洞窟環境や基本的なマナーを理解します。
経験者や専門団体とつながる
地域のケイビングクラブ、日本洞窟学会などを通じて、継続的に活動できる環境をつくります。
専門技術を習得する
洞窟測量、SRT、地質調査、救助技術、応急手当などを段階的に学びます。
調査記録や実績を積む
探検記録、測量図、写真、報告書などを作成し、調査能力を高めます。
仕事につながる専門分野をつくる
ガイド、研究協力、地下空間調査、撮影支援、講演など、自分の得意分野を仕事につなげます。
大学では何を学ぶべき?
洞窟探検家になるために特定の大学や学部を卒業する必要はありません。
ただし、専門性を高めるなら、次の分野は役立ちます。
- 地質学・地理学:洞窟の形成や地形の理解
- 生物学:洞窟生物や生態系の研究
- 考古学・人類学:洞窟遺跡や人類活動の調査
- 水文学:地下水の流れや水質の研究
- 測量・地図情報:地下空間の計測と図面作成
2025年の日本洞窟学会第51回大会でも、洞窟測量、地下生物学、地質地形、地下水などの講習が実施されました。
探検技術と学術的な専門知識を組み合わせることが、将来の仕事の幅を広げる鍵になります。
【洞窟探検に関係する団体・専門家】役割と関係性を比較
洞窟探検家の活動は、個人だけで完結するものではありません。
探査、研究、ガイド、救助、土地の管理など、それぞれ異なる専門性を持つ関係者が協力することで成立します。
以下は、洞窟探検家を中心とした主要な関係者・組織の役割です。
特に、日本洞窟学会と日本ケイビング連盟は、名前が似ていても活動の重点が異なります。
日本洞窟学会は学術研究や洞窟保全、安全啓発などを幅広く扱います。一方、日本ケイビング連盟は職業ガイドの育成や認定、未踏洞窟の遠征など、実践的な活動にも重点を置いています。
両者の活動は対立するものではなく、洞窟探検の技術と知識を支える異なる役割を担っています。
【洞窟探検家の収入はいくら?】仕事の実態とケイビングガイドとの違い
洞窟探検家を職業として考えたとき、気になるのが収入です。
実際には、洞窟探検だけで毎月一定の給料を得られる仕事は限られています。
調査の依頼状況やメディア出演、ガイド業務、スポンサー契約などによって収入が変動するため、一般的な平均年収を示すのは難しい職業です。
洞窟探検家の主な収入源
代表的な収入源は次のとおりです。
1.大学・企業・自治体からの調査依頼
地下空間の調査や洞窟測量、地質調査などの専門業務を受託します。
2.ケイビングガイド
観光客や一般参加者を対象に洞窟探検ツアーを案内します。
3.テレビ・映像制作への協力
番組撮影のための洞窟案内、現地調整、専門的な技術支援などを行います。
4.講演・執筆・メディア出演
探検経験や専門知識を講演、書籍、記事などで発信します。
5.企業活動・教育事業
洞窟ツアー、社員研修、探検関連イベント、教育プログラムなどを運営します。
実際に株式会社地球探検社は、洞窟探検ツアー、テレビ撮影協力、学術調査サポート、講演、移動式洞窟迷路などを事業として展開しています。
2026年の収入事例:洞窟探検家・吉田勝次
洞窟探検家・日本ケイビング連盟会長・株式会社地球探検社代表
日本の洞窟探検を代表する人物の一人。2024年の植村直己冒険賞を受賞。
2026年3月8日付の日刊SPA!のインタビューでは、吉田勝次氏が洞窟探検家としての収入について説明しています。
本人によると、講演やメディア出演料、大学・企業からの調査依頼などを合わせて、年間1,000万~1,500万円ほどの稼ぎがある場合もあるとのことです。
ただし、その収入は探検費用に消えてしまうとも語っています。また、建設業を本業として続けながら探検活動を行ってきた経緯も紹介されています。
この数字は吉田氏個人の活動実績であり、洞窟探検家全体の平均年収ではありません。
むしろ、この事例から読み取れるのは、探検活動を継続するには資金調達や本業との両立が大きな課題になるという現実です。
洞窟探検家とケイビングガイドは何が違う?
両者は同じ洞窟を活動場所にするため混同されがちですが、仕事の目的には違いがあります。
| 比較項目 | 洞窟探検家 | ケイビングガイド |
|---|---|---|
| 主な目的 | 未知の空間の発見・調査 | 参加者を安全に案内 |
| 対象 | 未踏洞窟・調査対象の地下空間など | ツアー対象の洞窟 |
| 主な仕事 | 探査・測量・研究協力 | 案内・安全管理・解説 |
| 必要な能力 | 探検技術・測量・調査能力 | ガイド技術・安全管理・接客 |
| 収入源 | 調査・講演・撮影・出版など | ツアー料金・ガイド業務など |
ただし、両者は完全に別の職業というわけではありません。
高度な探検技術を持つ人がガイドを務めることもあれば、ガイドとして経験を積んだ人が調査や探検活動に進むこともあります。
大切なのは、観光案内の技術と、未知の洞窟を調査する技術を区別して身につけることです。
【洞窟探検の安全対策と洞窟レスキュー】日本洞窟学会の指針から見る危険性
洞窟探検家にとって、安全管理は探検技術と同じくらい重要な専門分野です。
洞窟では、地上の山岳活動とは異なる危険が発生します。
携帯電話が通じない、通路が狭く担架を運びにくい、地上から救助隊が直接アクセスできないといった条件が重なるためです。
日本洞窟学会が示す安全管理の基本
日本洞窟学会が2014年7月14日に発行した「ケイビング・洞窟調査を行うにあたっての倫理規定・行動規則」では、安全確保に関する具体的なルールが示されています。
特に重要なのは次の項目です。
入洞前の計画
- 入洞する洞窟の情報を事前に調べる。
- 必要に応じて土地所有者や管理者の許可を得る。
- 予定ルートと出洞時刻を地上の連絡担当者に伝える。
- 過去の入洞記録や測量図を確認する。
- 天気予報や降雨による増水リスクを確認する。
装備と行動管理
- 全員が信頼できるヘッドランプを携行する。
- 予備ライト、食料、救急用品、防寒具を用意する。
- 体力や技術に見合った範囲で行動する。
- 単独行動を避け、仲間と連絡が取れる範囲で活動する。
- ロープなどの装備の状態を確認する。
環境保全
- ゴミや持ち込んだ物を洞窟に残さない。
- 鍾乳石や化石、洞窟生物などを傷つけない。
- 地域や管理者が定めた立ち入りルールを守る。
- 洞窟内の自然環境に与える影響を最小限にする。
特に雨には注意が必要です。洞窟によっては降雨によって内部の水位が急激に上昇し、数日から数か月にわたって水が引かない場合もあります。
また、学会の指針では、洞窟事故の救助費用が100万円以上になるケースもあるとして、救援者費用を補償できる保険や共済への加入を推奨しています。これは一律の料金ではなく、救助環境によって負担が変わることへの注意喚起です。
洞窟レスキューとは?
洞窟レスキューとは、洞窟内で発生した事故や遭難に対応するための専門的な救助活動です。
一般的な山岳救助と異なり、狭い通路や竪穴、地下水路などを考慮した救助計画が必要になります。
日本洞窟学会の洞窟救助委員会は、1997年に設立されました。
主な活動は次のとおりです。
- 洞窟事故の予防啓発
- 洞窟内事故の救助
- 行方不明者の捜索
- 洞窟救助に関する研究
- 救助訓練や講習会
- 事故情報の収集と再発防止
また、日本ケイビング連盟も洞窟レスキュー訓練を実施しています。横穴や竪穴での事故を想定し、役割分担や連絡経路などを訓練内容に含めています。
洞窟内の救助は専門性が高く、一般的な救助技術だけで対応できない場合があります。そのため、探検家自身にも仲間を助けるための基本的な救助知識が求められます。
【洞窟探検家の2026年最新動向】日本の探査・研究はどこまで進んでいる?
2026年の日本の洞窟探検・研究活動を見ると、単純な冒険や新洞発見だけでなく、測量技術、地下水、生物、考古学、救助体制など、専門分野の広がりが確認できます。
2026年10月、日本洞窟学会第52回大会を開催
日本洞窟学会は2026年10月3日・4日、奈良県吉野郡川上村で第52回大会を開催しました。
大会では洞窟探検や調査に関する研究発表のほか、部会ごとのワークショップや洞窟巡検が行われました。
発表テーマには、次のような内容が含まれています。
- 北海道における新洞探査・測量・洞窟情報の体系化
- 沖縄県国頭村宜名真地域の洞窟分布
- 多良間島の洞窟群
- 岡山県新見市宇山洞の地下水質
- 岩手県龍泉洞のカルスト水系
- 南大東島の水中洞窟の水質や生物
- ラオスの水没鉱山における多国籍救助活動
さらに、龍王洞事故の原因と再発防止策に関する報告や、事故検証ワーキンググループによるパネルディスカッションも実施されました。
こうした発表からは、洞窟探検が地質学や生物学、水文学、救助技術など複数の専門分野と結びついていることが分かります。
吉田勝次氏の未踏洞窟探査と植村直己冒険賞
日本の洞窟探検家を語るうえで、吉田勝次氏の活動も重要です。
植村直己冒険館の公式発表によると、吉田氏は2024年の植村直己冒険賞の受賞者に選ばれ、2025年2月12日に発表されました。
評価された活動の一つが、ラオスでの未踏洞窟探検です。
2018年に現地情報を得て未踏洞窟の入口を発見し、2019年、2022年、2024年と調査を実施しました。
特に2024年の探検では、ケイブダイビングや人工登攀などを伴う困難な調査を行い、新たに約550メートルの未踏部分を発見したと発表されています。
同館の紹介では、吉田氏は世界30か国、1,000か所以上の洞窟を探検してきた人物とされています。
この実績は、洞窟探検家の仕事が未知の空間を発見するだけでなく、その成果を社会や研究分野に還元する活動でもあることを示しています。
2026年に洞窟探検家を目指す人が注目したいこと
今後、洞窟探検家に求められる能力は、身体的な探検技術だけにとどまりません。
特に次の3分野は、専門性を高めるうえで注目すべき領域です。
1.洞窟測量とデジタル記録
未知の地下空間を正確に記録する能力は、後続の研究や調査計画の基礎になります。
2.地下水・生物・地質の専門知識
洞窟は独立した自然環境です。地下水系や洞窟生物の調査は、自然環境の保全にも関係します。
3.事故予防と救助体制
探検の難易度が高くなるほど、個人の技術だけでなく、チーム全体の安全管理や救助体制が重要になります。
2026年の日本洞窟学会大会で事故検証が取り上げられたことも、安全管理が専門分野として重視されていることを示しています。
【洞窟探検家に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:洞窟探検家になるために国家資格は必要ですか?
A1:洞窟探検家全体に共通する国家資格は、一般的な職業要件として設けられていません。ただし、専門的な技術や実績が必要です。日本ケイビング連盟にはケイビングガイドの認定制度があり、活動内容に応じて講習や認定を活用できます。
Q2:洞窟探検家の年収はいくらですか?
A2:一律の平均年収を示すことは困難です。調査依頼、ガイド、講演、出版、メディア出演など、収入源によって大きく変わります。吉田勝次氏は2026年のインタビューで年間1,000万~1,500万円ほどの稼ぎに触れていますが、個人の事例であり、一般的な年収ではありません。
Q3:洞窟探検家とケイビングガイドの違いは何ですか?
A3:洞窟探検家は未知の洞窟を探査・測量・調査することが主な目的です。ケイビングガイドは、参加者を洞窟内へ安全に案内し、体験や解説を提供することが中心です。ただし、両方の活動を行う人もいます。
Q4:洞窟探検にはどのような装備が必要ですか?
A4:基本的にはヘルメット、ヘッドランプ、予備ライト、専用ウェア、靴、手袋などが必要です。活動内容によってはハーネスやロープ、測量器具、救急用品、防寒具なども使用します。必要な装備は洞窟の難易度や環境に合わせて選びます。
Q5:初心者でも未踏洞窟を探検できますか?
A5:初心者だけで未踏洞窟へ入ることは避けるべきです。まずは経験者が同行する活動や講習会で基本技術を学び、段階的に経験を積む必要があります。日本洞窟学会も初心者だけの探検には制限を設け、経験者の同行やガイドの助言を推奨しています。
Q6:日本洞窟学会と日本ケイビング連盟はどちらに参加すればよいですか?
A6:洞窟学や測量、地質、生物などの研究を深めたい場合は日本洞窟学会が有力な選択肢です。ガイド技術や職業ガイドの認定、実践的な探検活動に関心がある場合は日本ケイビング連盟の活動が参考になります。目的に合わせて選ぶとよいでしょう。
まとめ:洞窟探検家は探検技術と科学的知識を兼ね備えた専門家
洞窟探検家は、未知の地下空間を発見し、探査・測量・調査を通じてその情報を社会に残す専門家です。
その仕事内容は、単に洞窟の奥へ進むことではありません。地質や地下水、生物、考古学などの知識を活用し、調査結果を図面や報告書として整理することまで含まれます。
目指すために一律の国家資格が必要なわけではありませんが、実践経験、測量技術、ロープワーク、救助知識、安全管理能力など、身につけるべき専門性は幅広くあります。
収入面では、ガイドや研究協力、講演、撮影支援などを組み合わせる働き方が現実的です。探検活動だけで安定した収入を得ることは簡単ではなく、本業との両立や事業化も重要な課題になります。
2026年の日本洞窟学会大会でも、測量、地下水、生物調査、事故検証など多様なテーマが扱われました。洞窟探検は冒険であると同時に、自然環境や地下空間を理解するための専門的な活動として発展しています。
洞窟探検家を目指すうえで最も大切なのは、未知の世界への好奇心と、危険を正しく判断して安全に帰ってくる能力を両立させることです。
探検の成果は、どれだけ奥へ進んだかだけでは決まりません。正確な記録を残し、自然環境を守り、次の調査につなげること。それこそが、専門家としての洞窟探検家の価値です。 (出典: 洞窟 探検 家(Yahoo!ニュース))