インフルエンザにかからない人は遺伝?2026年の17宿主因子研究と免疫の真実

目次
インフルエンザにかからない人は遺伝?2026年の17宿主因子研究と免疫の真実
インフルエンザにかからない人は遺伝?2026年の17宿主因子研究と免疫の真実
@ creator • Click to Play Video Inline
🎵 インフルエンザにかからない人は遺伝?2026年の17宿主因子研究と免疫の真実

インフルエンザが毎年流行しているのに、ほとんど感染しない人がいる一方で、毎シーズンのように発症する人もいます。この違いは、単なる体力や生活習慣だけでなく、生まれ持った遺伝的要因や免疫システムの働きにも関係しているのでしょうか。

2026年6月、東京大学と国立健康危機管理研究機構などの研究グループが、インフルエンザウイルスに対する抵抗性に関係する17種類の宿主因子をマウスの研究で同定しました。さらに、IFITM3やATG16L1といった遺伝子についても、ウイルスの侵入や細胞の防御機構に関わる研究が進んでいます。こうした成果から見えてきたのは、インフルエンザに感染しやすいかどうかには遺伝子が関係するものの、感染するか、発症するか、重症化するかは、それぞれ異なる仕組みで左右されるという事実です。

📌 【この記事の重要ポイントまとめ】

- 遺伝的要因: インフルエンザへの抵抗性には遺伝子が関係する。2026年の研究ではマウス84系統を調べ、17種類の宿主因子を特定した。
- 免疫の働き: IFITM3やATG16L1、インターフェロン、過去の感染によって形成された免疫記憶などが防御に関わる。
- 予防の現実: 遺伝的に感染しにくい可能性があっても絶対に感染しないわけではない。ワクチン接種や日常的な感染対策には引き続き意味がある。

【結論】インフルエンザにかからない人は遺伝で決まる?

結論からいえば、インフルエンザへのかかりやすさには遺伝が関係しますが、遺伝だけで決まるわけではありません。

人間の免疫システムには、生まれつき備わっている自然免疫と、感染やワクチン接種を通じて形成される獲得免疫があります。それぞれが連携し、ウイルスが体内に侵入したときの反応や、感染後に症状が現れるかどうかを左右します。

例えば、同じ家庭で生活し、同じ時期にインフルエンザ患者と接触しても、全員が同じ結果になるとは限りません。

ある人は感染しても症状が出ず、別の人は発熱や関節痛などを伴って発症することがあります。また、感染後に重い肺炎などを起こす人と、数日で回復する人にも違いがあります。

この差には、次のような要素が関係します。

- 遺伝的な免疫機能の違い
- 自然免疫やインターフェロンの働き
- 過去の感染歴やワクチン接種歴
- インフルエンザ抗体の量や性質
- 年齢や基礎疾患などの健康状態
- ウイルスの種類や感染時の曝露状況
- 睡眠、栄養、生活環境などの要素

ここで重要なのは、「感染しにくい人」と「感染しても発症しにくい人」は必ずしも同じではないという点です。

遺伝的にウイルスの増殖を抑えやすい人がいる可能性はありますが、これをもって一生インフルエンザにかからない体質と判断することはできません。

【2026年最新研究】東京大学が発見した17種類のインフルエンザ宿主因子とは?

2026年のインフルエンザ遺伝子研究で特に注目されるのが、東京大学と国立健康危機管理研究機構などによる共同研究です。

研究成果は2026年6月16日、国際科学誌「Cell」のオンライン版に掲載されました。研究タイトルは「A CRISPR Knockout Mouse Library for Functional Genomics in Influenza Research」です。

研究を主導したのは、国立国際医療研究所・国際ウイルス感染症研究センターの植木紘史主任研究員や、東京大学新世代感染症センターの河岡義裕機構長らの研究グループです。

今回の成果が画期的なのは、培養細胞だけでなく、実際の生体に近いマウスの感染モデルを用いて、宿主側の遺伝子の働きを検証したことにあります。

84系統の遺伝子改変マウスから17種類を発見

研究グループは、CRISPR/Cas9というゲノム編集技術を利用し、インフルエンザウイルスの増殖に関係する宿主因子を調べました。

研究の流れは次のとおりです。

1. 過去の研究や大規模な遺伝子解析から386個の候補遺伝子を選定。
2. 生命維持に必須で、欠損すると致死的になる遺伝子などを除外し、290個に絞り込む。
3. マウス由来の細胞を使った解析で、148個を生体実験の候補に選定。
4. CRISPR/Cas9による遺伝子改変を行い、最終的に84系統のマウスを作製。
5. インフルエンザA型ウイルスを感染させ、抵抗性や生存率などを調査。

その結果、遺伝子の欠損によってインフルエンザへの抵抗性が高まる17種類の宿主因子が見つかりました。

ここでいう宿主因子とは、ウイルス自身が持っている遺伝子ではなく、感染した人間や動物の細胞側に存在し、ウイルスの侵入や増殖、感染後の病態などに関係する分子のことです。

特に注目されたArhgef28とLasp1

17種類の宿主因子の中でも、研究グループが詳しく調べたのがArhgef28(RGNEF)とLasp1です。

この2つは、同じようにマウスの抵抗性を高めながら、異なる仕組みで作用していました。

Arhgef28(RGNEF)

Arhgef28を改変したマウスでは、感染後3日目の肺におけるインフルエンザウイルス量が、通常のマウスと比較して有意に低下しました。

つまり、この遺伝子を欠損させることで、肺におけるウイルスの増殖が抑制されたと考えられます。

Lasp1

一方、Lasp1を改変したマウスでは、肺のウイルス量に有意な差が認められなかったにもかかわらず、生存率が向上しました。

これは、ウイルスの増殖を直接抑えることとは別の仕組みで、感染による病態や重症化に影響している可能性を示しています。

この違いは非常に重要です。

ウイルスを増やさないことと、感染による身体へのダメージを抑えることは、必ずしも同じではありません。

性別によって抵抗性に違いがあった

今回の実験では、雄と雌のマウスをそれぞれ調べたところ、宿主因子による抵抗性に性差が認められました。

両性で特に顕著な抵抗性が確認されたのはArhgef28とLasp1です。

この結果は、免疫やウイルスの病原性に関係する仕組みが、性別によって異なる可能性を示唆しています。

ただし、これはマウスで確認された現象です。人間でも同じ遺伝子の働きによって男女の感染率が決まると証明されたわけではありません。

17種類の遺伝子が見つかったことは、人間にも当てはまるのか

ここが今回の研究を理解するうえで最も重要なポイントです。

研究では、マウスの遺伝子を実験的に改変しています。つまり、一般の人が生まれつき持っている遺伝子の違いを調べた研究とは性質が異なります。

また、今回の実験は、2009年のパンデミックインフルエンザに由来するマウス適応H1N1株を使ったものです。

そのため、17種類の宿主因子を持っている人間が感染しない、あるいは遺伝子を調べれば感染リスクが分かるという結論にはつながりません。

今回の成果は、将来の抗インフルエンザ薬の開発につながる基礎研究として大きな意味を持っています。

【遺伝子を徹底解説】IFITM3とATG16L1は感染しにくい体質に関係する?

2026年の研究とあわせて理解したいのが、IFITM3とATG16L1という2つの遺伝子です。

どちらもインフルエンザウイルスに対する細胞の防御機構に関係していますが、働き方は異なります。

IFITM3遺伝子はウイルスの侵入を防ぐ

IFITM3は、インターフェロン誘導性膜貫通タンパク質3と呼ばれる分子を作る遺伝子です。

このタンパク質は、ウイルスが細胞内に侵入する過程を妨げる働きを持っています。

インフルエンザウイルスは、細胞内に入り込んで増殖することで感染を広げます。IFITM3は細胞内の膜環境に作用し、ウイルスの膜と細胞内の膜が融合する過程を抑えることで、感染の成立を妨げます。

つまり、IFITM3は身体に備わっている抗ウイルス防御の一部です。

人間のIFITM3遺伝子には複数の遺伝的変異が存在します。そのうちrs12252-Cやrs34481144-Aなどは、タンパク質の働きが低下する可能性や、インフルエンザ感染後の重症化との関連が研究されています。

ただし、研究によって結果にはばらつきがあります。

2025年に発表された米国オハイオ州立大学の研究者らによるレビューでは、IFITM3の遺伝的変異と重症化の関連は、2009年の新型インフルエンザや鳥インフルエンザなど、新興のインフルエンザウイルスで比較的注目される一方、季節性インフルエンザでは一貫した関連が確認されない研究もあると整理されています。

その理由の一つとして、過去の感染やワクチン接種で形成された抗体や記憶T細胞が、IFITM3の働きの違いを補っている可能性も議論されています。

2026年8月にはIFITM3の2,898種類の変異を解析

さらに2026年8月22日、学術誌「Communications Biology」にIFITM3の機能を詳しく調べた研究が掲載されました。

研究グループは、インフルエンザA型の3種類のウイルス株を対象に、2,898種類のIFITM3変異を解析しました。

この研究では、抗ウイルス作用に関係するタンパク質の領域を詳細に調べ、遺伝的な変異が機能にどのような影響を及ぼすのかを整理しています。

また、コンピューターによる予測だけでは、抗ウイルス活性が高まる一部の変異を正確に評価できないことも示されました。

これは、遺伝子の配列だけを見て感染しやすさを単純に判定することが難しいことを示す成果です。

ATG16L1遺伝子は細胞の防御システムに関係する

もう一つ注目されるのがATG16L1です。

ATG16L1は、オートファジーと呼ばれる細胞内の不要な成分を処理する仕組みに関係する遺伝子です。

オートファジーは、細胞内の不要なタンパク質や構造物などを分解・再利用する働きで、細胞の恒常性を維持するうえで欠かせません。

ATG16L1については、2021年にインフルエンザA型ウイルスを対象とした研究が発表されています。

この研究では、ATG16L1の特定領域に異常があるマウスを調べ、非典型的なオートファジー機構がインフルエンザ感染から肺を守ることを示しました。

特に、気道の上皮細胞における防御機構が重要であり、ATG16L1の特定領域を欠くマウスでは、ウイルスの増殖や肺の炎症が増加し、致死的な感染に対する感受性が高まりました。

ここで注意したいのは、ATG16L1が単純に「インフルエンザにかからない遺伝子」というわけではないことです。

細胞の防御や炎症反応には複数の仕組みが関わっており、遺伝子の一部分の機能を変えたマウスの結果を、そのまま人間の感染リスクに置き換えることはできません。

遺伝子ごとの働きを比較

遺伝子・因子主な働き研究から分かること
IFITM3ウイルスの細胞侵入を抑制人間の遺伝的変異と重症化の関連が研究されている
ATG16L1オートファジー関連の細胞防御マウスの肺上皮細胞で感染防御に関係
Arhgef28(RGNEF)宿主細胞側のウイルス増殖に関わる因子欠損マウスで肺のウイルス量が低下
Lasp1感染後の病態に関わる宿主因子欠損マウスでウイルス量に差がないまま生存率が向上
インターフェロン自然免疫の抗ウイルス応答抗ウイルス関連遺伝子の働きを誘導
抗体・記憶T細胞過去の感染や接種に基づく防御既知のウイルスに対する免疫応答を助ける

この比較から分かるのは、インフルエンザに対する防御は一つの遺伝子だけで決まらないということです。

ウイルスの侵入を防ぐ仕組み、感染後の増殖を抑える仕組み、炎症によるダメージを軽減する仕組みが連携しています。

【感染しにくい体質の正体】自然免疫・抗体・過去の感染歴が関係する

インフルエンザにかからない人を理解するためには、遺伝子だけでなく免疫の仕組みを知る必要があります。

特に重要なのが、自然免疫、インターフェロン、免疫記憶の3つです。

自然免疫とインターフェロンが最初の防御を担う

自然免疫は、生まれたときから備わっている身体の防御システムです。

ウイルスが体内に侵入すると、細胞は異物を認識し、インターフェロンなどの免疫関連物質を放出します。

インターフェロンは周囲の細胞に抗ウイルス状態を作るよう働きかけ、ウイルスの増殖を抑えるための遺伝子群を活性化させます。

IFITM3も、こうしたインターフェロンによって発現が誘導されるタンパク質の一つです。

この自然免疫の反応が適切に働けば、感染初期のウイルス増殖を抑えられる可能性があります。

ただし、免疫反応は強ければ強いほどよいわけではありません。

過剰な炎症反応は、かえって肺などの組織を傷つけることがあります。ウイルスを抑える力と、身体へのダメージを抑える力のバランスが重要です。

過去の感染歴が免疫記憶を作る

過去にインフルエンザに感染したことがある人は、免疫記憶によって次の感染に備えている場合があります。

感染後には、B細胞やT細胞がウイルスの特徴を記憶し、同じようなウイルスが侵入した際に迅速な免疫応答を起こせるようになります。

特に重要なのが次の2つです。

- 記憶B細胞: 過去に認識したウイルスに対応する抗体を再び作るための細胞。
- 記憶T細胞: 感染した細胞を認識し、免疫反応を助けたり、感染細胞を排除したりする細胞。

過去の感染歴がある人が、次のシーズンも必ず感染を免れるわけではありません。しかし、免疫記憶によって症状や重症化の程度が変わる可能性があります。

インフルエンザ抗体があっても感染する理由

インフルエンザ抗体は、ウイルスを認識して感染を防ぐために働く重要な免疫成分です。

しかし、インフルエンザウイルスには、A型やB型、さらに細かな亜型や系統の違いがあります。

また、ウイルスは変異を繰り返し、表面にある抗原の性質を変化させます。

そのため、以前の感染で作られた抗体が、新たに流行しているウイルスに対して十分な防御効果を発揮できないことがあります。

つまり、過去に何度もインフルエンザに感染した経験があっても、将来の感染を完全に防げるわけではありません。

免疫記憶は重要ですが、流行するウイルスとの適合性によって防御の程度は変わります。

実は感染していても症状が出ない人がいる

「インフルエンザにかかったことがない」と話す人の中には、実際には感染していても発症していない人が含まれている可能性があります。

インフルエンザでは、ウイルスが体内に侵入して細胞内で増殖することを感染と呼びます。一方、発熱や咳、関節痛などの症状が現れることを発病といいます。

厚生労働省の説明でも、この2つは区別されています。

また、米国CDCが2026年に公表した情報では、2017~2023年のインフルエンザシーズンに実施された家庭内調査において、検査で陽性となった人の約8%に症状が認められなかったと報告されています。

つまり、本人が気づかないうちに感染している可能性もあるのです。

周囲から見ると「何年もインフルエンザにかかっていない人」であっても、実際には感染していたものの、症状が出なかっただけかもしれません。

【重症化リスクを検証】遺伝子だけではインフルエンザの危険度は判断できない

インフルエンザについて考えるとき、感染するかどうかと同じくらい重要なのが重症化リスクです。

感染しても軽い症状で回復する人がいる一方で、肺炎などの合併症を起こす人もいます。

この違いにも遺伝的要因が関係する可能性があります。

遺伝子による違いは重症化にも関係する

IFITM3の研究は、遺伝的な違いがインフルエンザ感染後の重症化に関係する可能性を示しています。

しかし、IFITM3の特定の変異を持っているから必ず重症化するという意味ではありません。

感染後の経過には、自然免疫の働き、獲得免疫、ウイルスの性質、年齢、健康状態など、多数の要因が関係しています。

2026年のマウス研究で注目されたLasp1の結果も、この考え方を裏付けるものです。

ウイルス量に大きな差がなくても、生存率が変わることがあるため、感染の成立と重症化は別々に評価する必要があります。

重症化しやすい人には共通する健康上の特徴がある

厚生労働省や米国CDCが示す情報では、次のような人はインフルエンザによる合併症や重症化に注意が必要です。

- 65歳以上の高齢者
- 5歳未満の子ども、特に2歳未満
- 妊娠中の人
- 喘息や慢性呼吸器疾患のある人
- 心臓病や糖尿病などの基礎疾患がある人
- 免疫機能が低下している人
- 高度の肥満がある人

これらの人は、感染した場合に重い症状が出る可能性があるため、予防や早期の医療相談が大切です。

特に、普段から健康に見える人でも、年齢や持病などによってリスクは変わります。

「自分は遺伝的にインフルエンザに強いはず」と考えて、予防を怠ることは避けたいところです。

遺伝子検査でインフルエンザにかからない体質を判定できる?

2026年11月時点で、一般の人を対象に、インフルエンザに感染しない体質を確実に判定できる標準的な遺伝子検査は確立されていません。

IFITM3などの研究は進んでいますが、特定の遺伝子だけで個人の感染確率や重症化リスクを正確に予測できる段階ではありません。

また、遺伝子の働きは単独で決まるわけではなく、複数の遺伝子や免疫状態、環境条件との相互作用によって変わります。

現時点では、遺伝子検査の結果を根拠にワクチン接種や感染対策を省略することは適切ではありません。

【2026年の予防対策】遺伝に関係なくインフルエンザを防ぐ方法

遺伝的な感染抵抗性には個人差があるとしても、日常生活でできる予防対策には大きな意味があります。

特に重要なのが、ワクチン接種、手洗い、換気、咳エチケットです。

インフルエンザワクチンは感染を完全に防ぐものではない

インフルエンザワクチンについては、「接種したのに感染した」という経験から、効果を疑問視する人もいます。

しかし、ワクチンの役割は感染を100%防ぐことだけではありません。

厚生労働省によると、現在のインフルエンザワクチンはウイルスの体内への侵入や感染を完全に防ぐものではない一方、発病を抑えたり、発病後の重症化や死亡を予防したりする一定の効果が認められています。

2025~2026年シーズンの日本の研究結果

2026年8月には、日本の小児を対象とした2025~2026年シーズンのワクチン有効性に関する研究が学術誌「Vaccine」に掲載されました。

この研究では、全国16施設の医療機関で発熱のある小児を対象に調査し、計1,033人のデータを分析しています。

インフルエンザA型に対する調整済みワクチン有効率は、次のとおりでした。

- 不活化ワクチン:43%(95%信頼区間15~62%)
- 経鼻弱毒生ワクチン:81%(95%信頼区間15~96%)

ただし、経鼻ワクチンの接種者は少なく、推定値の幅も広いため、81%という数字だけで両者の優劣を判断することはできません。

また、この研究ではインフルエンザB型に対する有意な予防効果は確認されませんでした。

この結果からも、ワクチンの効果は流行するウイルスの種類やシーズン、対象者によって変わることが分かります。

なお、この研究は小児を対象としたものであり、成人全体に同じ有効率が当てはまるわけではありません。

遺伝的な体質に頼らないための日常習慣

インフルエンザの予防では、感染する機会そのものを減らすことも大切です。

具体的には、次のような習慣が役立ちます。

1. 流行前のワクチン接種

ワクチンは、発病や重症化のリスクを減らすための基本的な対策です。接種時期や対象については、医師や自治体の案内を確認しましょう。

2. 手洗いを習慣にする

外出後や食事前などに石けんと流水で手を洗い、手指に付着したウイルスを取り除きます。

3. 室内の換気を行う

人が集まる場所では、窓を開けるなどして空気を入れ替えます。換気が難しい環境では、適切な空調管理も検討します。

4. 咳エチケットを守る

咳やくしゃみが出る場合には、マスクやティッシュなどを活用して周囲への飛沫の拡散を抑えます。

5. 睡眠と栄養を確保する

十分な睡眠とバランスの取れた食事は、健康状態を維持する基本です。ただし、特定の食品やサプリメントだけでインフルエンザ感染を防げるという確かな根拠はありません。

大切なのは、遺伝的な抵抗性の有無にかかわらず、複数の対策を組み合わせることです。

【インフルエンザにかからない人と遺伝】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:インフルエンザに一度もかからない人は遺伝的に強いのでしょうか?

A1:遺伝的にウイルスへの抵抗性が高い可能性はあります。ただし、感染しても症状が出ない人や、感染していても気づいていない人もいます。遺伝だけで一度も感染していないと判断することはできません。

Q2:IFITM3遺伝子を持っている人はインフルエンザにかかりにくいですか?

A2:IFITM3は人間に備わっている抗ウイルス防御に関係する遺伝子です。ただし、遺伝子を持っていること自体で感染しないわけではありません。遺伝的変異による機能の違いや、ほかの免疫機構との関係も考慮する必要があります。

Q3:2026年に発見された17種類の遺伝子は人間にも当てはまりますか?

A3:2026年の研究で確認されたのは、遺伝子を改変したマウスにおける抵抗性です。人間でも同じような効果があるかどうかは、今後の研究で検証する必要があります。

Q4:ATG16L1遺伝子はインフルエンザを予防する遺伝子ですか?

A4:ATG16L1は細胞内のオートファジーや気道の防御機構に関係しています。マウス研究ではインフルエンザ感染から肺を守る働きが示されていますが、人間の感染を完全に防ぐ遺伝子として確立されているわけではありません。

Q5:過去にインフルエンザに感染した人は次の年もかかりにくいですか?

A5:過去の感染によって免疫記憶や抗体が形成されるため、同じようなウイルスに対する防御が期待できます。ただし、ウイルスの変異によって抗体の効果が弱まることがあり、翌シーズンの感染を完全に防げるわけではありません。

Q6:インフルエンザにかかりにくい体質ならワクチンは不要ですか?

A6:いいえ。感染しにくいと感じている人でも感染や発症の可能性はあります。ワクチンには発病や重症化を防ぐ一定の効果があるため、年齢や健康状態に応じて接種を検討することが大切です。

まとめ:インフルエンザにかからない体質は遺伝と免疫の組み合わせで考える

インフルエンザにかかりにくい人がいる理由には、遺伝的な要因が関係している可能性があります。

2026年6月に東京大学と国立健康危機管理研究機構などが発表した研究では、84系統の遺伝子改変マウスを使った実験から、抵抗性に関係する17種類の宿主因子が特定されました。

特にArhgef28とLasp1の研究成果は、ウイルスの増殖を抑える仕組みと、感染による病態を軽減する仕組みが異なることを示しています。

さらに、IFITM3の遺伝的変異やATG16L1の細胞防御機能、自然免疫、インターフェロン、過去の感染による免疫記憶なども、インフルエンザへの抵抗性を考えるうえで重要です。

ただし、マウスの研究結果がそのまま人間に当てはまるわけではありません。2026年11月現在も、特定の遺伝子を調べるだけでインフルエンザにかからない体質を判定できる段階には至っていません。

インフルエンザに強い人は、単に遺伝的に恵まれている人というより、複数の免疫機構が適切に働いている人と捉えるのが適切です。

今後は、今回発見された宿主因子の詳しい働きが解明されることで、従来とは異なる仕組みの抗インフルエンザ薬や新しい予防法の開発につながる可能性があります。

遺伝子研究の進展に注目しながらも、ワクチン接種や手洗い、換気など、現在確立されている予防対策を続けることが、感染と重症化のリスクを抑えるための現実的な選択です。

主要な根拠資料

- 東京大学「インフルエンザ感染に関わる宿主因子を同定」(2026年6月17日)。84系統・17宿主因子の研究発表。
- Ueki et al., Cell(2026年6月16日)。CRISPR改変マウスを使った宿主因子研究。
- Chen et al., Communications Biology(2026年8月22日)。IFITM3の2,898変異の機能解析。
- Denz & Yount, mBio(2025年)。IFITM3の遺伝的変異とインフルエンザ重症化の研究レビュー。
- ATG16L1の非典型的オートファジーとインフルエンザ感染に関する研究。
- 厚生労働省「インフルエンザワクチン(季節性)」および2025年度Q&A。
- 2025~2026年シーズンの日本の小児インフルエンザワクチン有効性研究。Vaccine、2026年8月13日。 (出典: インフルエンザ かからない 人 遺伝(Yahoo!ニュース))

インフルエンザかからない人遺伝
インフルエンザかからない人遺伝
インフルエンザかからない人遺伝