【BTSがグラミー賞を受賞できなかった理由】人気と審査結果は別物
BTSが5回ノミネートされながら受賞できなかったことについて、ファンの間ではグラミー賞の評価基準やK-POPに対する認知度、英語圏中心の音楽業界の構造などが議論されてきました。
ただし、BTSが受賞できなかった理由を、特定の審査員の判断や国籍、言語だけに結び付けることはできません。公式に発表された単一の敗因はありません。
理解するうえで重要なのは、グラミー賞の選考方式です。
1.一般的な人気投票ではなく音楽業界関係者による投票
グラミー賞は、レコーディング・アカデミーの投票資格を持つ音楽業界関係者によって選ばれる、いわゆるピア・ボーティング(同業者投票)の賞です。
投票に参加するのは、歌手だけではありません。ソングライター、プロデューサー、エンジニア、ミキサーなど、音楽制作に携わる専門家も含まれます。
そのため、次のような要素は必ずしも受賞を保証しません。
- 世界的な知名度やファンダムの規模
- 音楽配信サービスでの再生回数
- SNSでの話題性
- Billboardなどの音楽チャートでの成績
- ライブ公演の動員力
こうした実績と、投票者が各部門で評価する芸術的な完成度は、必ずしも一致しないのです。
2.BTSが競った相手も各部門の有力候補だった
2023年の結果を見ると、各部門にはそれぞれ強い個性を持つ作品が集まっていました。
- 「My Universe」:サム・スミスとキム・ペトラスの「Unholy」
- 「Yet To Come」:テイラー・スウィフトの「All Too Well: The Short Film」
- 「Music of the Spheres」:ハリー・スタイルズの「Harry's House」
BTSは3つのカテゴリーで評価されましたが、それぞれの部門で異なる競争相手と争っていました。
同じ音楽賞でも、ポップ・パフォーマンス、映像作品、アルバム全体では審査の対象が違います。1つの作品が別のカテゴリーでも高く評価されるとは限りません。
3.K-POPの国際的成功とグラミー賞での評価には時間差があった
BTSの功績は、単にノミネート数だけでは測れません。
英語圏以外の音楽市場から登場したグループが、世界的なポップ市場で存在感を確立し、米国の主要音楽賞で3年連続の候補入りを果たしたこと自体が大きな転換点でした。
一方、世界規模での商業的成功が、米国の音楽業界での評価にそのまま反映されるとは限りません。
この問題はBTSだけでなく、アジア発のポップミュージック全体が抱えてきた課題とも重なります。
プロの視点では、BTSのグラミー賞への挑戦は「受賞できたか」という結果だけでなく、K-POPが主要な国際音楽賞の評価対象として定着していく過程として見るべきです。
【2026年最新】BTSの通算5ノミネート・受賞ゼロと2027年への動き
2026年11月6日現在、レコーディング・アカデミーの公式アーティストページに掲載されているBTSの記録は次のとおりです。
通算ノミネート
受賞数
レコーディング・アカデミー公式アーティスト記録・2026年時点
しかし、2026年のBTSを取り巻く状況には大きな変化がありました。
2026年2月:「Golden」がK-POP初のグラミー受賞を記録
2026年2月1日に開催された第68回グラミー賞では、Netflixのアニメーション映画『
歌唱を担当したHUNTR/XのEJAE、Audrey Nuna、REI AMIらに関連する作品であり、K-POPとして歴史的な受賞となりました。
この賞は、映像作品のために制作された楽曲の作詞・作曲を評価するカテゴリーです。
BTS自身の受賞ではありませんが、K-POPがグラミー賞の歴史に新たな記録を刻んだ出来事でした。
2026年3月:BTSが「ARIRANG」で活動再始動
2026年3月、BTSはメンバーの兵役に伴う約4年間の音楽活動休止を経て、グループとして再始動しました。
その節目となったのが、14曲を収録した5枚目のスタジオアルバム『
AP通信も、兵役を終えたメンバーによる再始動とアルバムの発表を報じています。
2023年のグラミー賞挑戦から3年余りが経過し、BTSは新たな音楽活動の段階へ進みました。
2026年7月:BTSが2027年グラミー賞への応募見送りを発表
2026年7月29日、BTSの7人は、2027年のグラミー賞に向けて楽曲を応募しない方針を明らかにしました。
背景として注目されたのが、レコーディング・アカデミーによる新カテゴリー「Best Asian Pop Music Performance(最優秀アジアン・ポップ・パフォーマンス賞)」の設置です。
同カテゴリーは2027年の第69回グラミー賞から導入されるもので、K-POP、J-POP、C-POPなど、アジア市場を起点とするポップ音楽を対象にしています。
アカデミー側はアジアの音楽を評価するための新設カテゴリーと説明しましたが、一部のファンや音楽関係者からは、アジアのアーティストを地域別に区分することへの懸念も出ていました。
BTSのメンバーが共同で発信した声明では、次の趣旨が示されました。
音楽が地域や言語によって分けられるのではなく、そのままの姿で聴かれ、愛されることを願っています。 BTSの2026年7月29日の声明・日本語訳
この声明はAP通信や聯合ニュースでも報じられています。
ただし、メンバーの声明は新カテゴリーを名指ししておらず、応募見送りの理由を一つの制度だけに限定して説明したものではありません。地域や言語によって音楽を区分することへの問題意識が、声明の重要な論点になっています。
2027年グラミー賞のノミネート発表は11月16日
2027年の第69回グラミー賞は、2027年2月7日にロサンゼルスで開催予定です。
レコーディング・アカデミーの公式発表によると、ノミネート発表日は2026年11月16日。
つまり、この記事の基準日である11月6日時点では、2027年の候補者はまだ正式発表されていません。
BTSは応募見送りを表明しているため、少なくともグループ自身が提出する作品による2027年の挑戦はありません。
【グラミー賞2023とBTS】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:BTSは2023年のグラミー賞で何部門にノミネートされましたか?
BTSは3部門にノミネートされました。「My Universe」の最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞、「Yet To Come」の最優秀ミュージックビデオ賞、Coldplayの「Music of the Spheres」に関連する年間最優秀アルバム賞です。
Q2:BTSはグラミー賞を受賞したことがありますか?
2026年11月6日現在、BTSのグラミー賞受賞はありません。公式記録では通算5回のノミネート、受賞0回です。
Q3:2023年の「My Universe」は誰が受賞しましたか?
サム・スミスとキム・ペトラスの「Unholy」が最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞を受賞しました。
Q4:「Yet To Come」の受賞を逃した作品は何ですか?
テイラー・スウィフトの「All Too Well: The Short Film」です。2023年の最優秀ミュージックビデオ賞を受賞しました。
Q5:BTSは2027年のグラミー賞にノミネートされますか?
2026年7月29日に、BTSは2027年のグラミー賞への楽曲応募を見送ると発表しました。2026年11月6日時点では、同賞のノミネート自体もまだ発表されていません。
まとめ:BTSのグラミー賞挑戦は受賞ゼロでも歴史的な意味を持つ
第65回グラミー賞でBTSは、「My Universe」「Yet To Come」、そしてColdplayの「Music of the Spheres」に関連する3部門でノミネートされました。
しかし、最終的にはサム・スミスとキム・ペトラス、テイラー・スウィフト、ハリー・スタイルズがそれぞれの部門で受賞し、BTSはトロフィーを獲得できませんでした。
2026年時点の公式記録は、通算5ノミネート、受賞0回です。
ただし、BTSの挑戦を受賞歴だけで評価するのは十分ではありません。
「Dynamite」で初めて候補入りし、「Butter」で2年連続の評価を獲得。「My Universe」と「Yet To Come」では複数部門に挑み、Coldplayのアルバムを通じて年間最優秀アルバム賞にも関係しました。
さらに2026年には、K-POP作品「Golden」がグラミー賞を受賞し、BTS自身は2027年の応募を見送るという新たな局面を迎えています。
プロの結論は、BTSのグラミー賞の歴史を「5回挑戦して一度も勝てなかった」という数字だけで終わらせないことです。
彼らが切り開いた国際的な評価の道筋と、音楽を言語や地域で区分することへの問題提起は、今後のK-POPと世界の音楽賞の関係を考えるうえでも重要な意味を持っています。
2027年以降、グラミー賞がアジアの音楽をどのように評価していくのか。そしてBTSが今後どのような形で国際的な音楽シーンに参加していくのか。引き続き注目されます。
主な参照資料:Recording Academy公式BTSアーティスト記録、第63回・第64回・第65回・第68回グラミー賞公式記録、Associated Press、聯合ニュース、2027年グラミー賞公式日程。 (出典: グラミー賞 2023 bts(Yahoo!ニュース))