喫煙率が高い職業は?2026年最新統計で運輸・建設・事務職を徹底比較
喫煙率が高い職業は何なのか。日本の職業別喫煙率を分析した研究では、男女ともに「輸送・機械運転従事者」が最も高く、「事務従事者」が最も低いという結果が報告されています。2016年の調査では、輸送・機械運転従事者の喫煙率は男性48.3%、女性38.5%でした。
一方、2026年11月時点で確認できる厚生労働省の最新公表値は、2024年実施の国民健康・栄養調査です。日本全体の習慣的な喫煙率は14.8%まで低下していますが、職業別の最新ランキングと全国平均は別の統計として考える必要があります。国民生活基礎調査、協会けんぽの業態別データ、トラック運転者の調査も照らし合わせ、運送業・建設業で喫煙率が高くなる背景と、2026年時点で分かっている実態を整理します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 職業別研究の最高値:2016年の分析では輸送・機械運転従事者が男女とも1位。男性48.3%、女性38.5%。
- 低い職業:事務従事者は男性27.9%、女性9.4%で、男女とも最も低かった。
- 2026年の最新状況:2024年の国民健康・栄養調査では全国の喫煙率は14.8%。職業別の最新順位は公表されている全国平均だけでは判断できない。
【2026年最新】喫煙率が高い職業ランキングの上位は輸送・機械運転従事者
日本の職業別喫煙率を知るうえで重要なのが、田中宏和氏・小林廉毅氏による研究「職業別喫煙率とその推移:国民生活基礎調査による分析(2001-2016年)」です。
2021年6月15日発行の「日本公衆衛生雑誌」に掲載されたこの研究は、厚生労働省の国民生活基礎調査の個票データを利用し、2001年から2016年まで3年ごとに職業別の喫煙率を分析したものです。
対象は25~64歳で、男女別に年齢調整を実施。喫煙者は「毎日吸っている」または「時々吸う日がある」と回答した人と定義されています。
その結果、2016年に最も喫煙率が高かった職業は、男女ともに輸送・機械運転従事者でした。
2016年の職業別喫煙率で分かった最高値と最低値
研究で特に注目されるのは、職業別の最高値と最低値の差です。
- 男性・輸送・機械運転従事者:48.3%
- 女性・輸送・機械運転従事者:38.5%
- 男性・事務従事者:27.9%
- 女性・事務従事者:9.4%
男性では最も高い輸送・機械運転従事者と、最も低い事務従事者の間に20.4ポイントの差がありました。女性ではその差が29.1ポイントに達しています。
この結果から、職業と喫煙習慣には無視できない関連があることが分かります。ただし、職業に就いていること自体が喫煙の原因だと証明されたわけではありません。
輸送・機械運転従事者にはどんな仕事が含まれる?
輸送・機械運転従事者は、一般的な意味でのトラック運転手だけを指す言葉ではありません。
日本標準職業分類に基づく職業区分であり、各種の自動車運転者や鉄道・船舶などの輸送に関わる運転業務、機械運転に関わる仕事などが含まれます。
そのため、ランキングの結果を「トラック運転手だけの喫煙率」と読み替えることはできません。運送業界全体の喫煙状況を考える際には、業種別の調査も併せて確認する必要があります。

【男女差を比較】男性と女性で喫煙率はどれほど違うのか
職業別喫煙率には男女差もあります。2016年の研究では、輸送・機械運転従事者が男女とも最高、事務従事者が男女とも最低という共通点が確認されました。
ただし、同じ職業区分でも男女の数値は大きく異なります。
男性は輸送・機械運転従事者で48.3%
男性の輸送・機械運転従事者は48.3%で、対象者のおよそ2人に1人が喫煙習慣を持っていた計算です。
一方、男性の事務従事者は27.9%。同じ男性でも、職業によって20ポイント以上の開きがありました。
さらに、男性では2001年から2016年まで、すべての職業区分で喫煙率が低下しています。ただし、輸送・機械運転従事者の低下幅は16.4ポイントで、事務従事者の21.0ポイントより小さく、職業間の差が広がる結果となりました。
女性は輸送・機械運転従事者で38.5%
女性の輸送・機械運転従事者も38.5%と高い数値でした。女性全体の喫煙率13.0%と比べても、かなり大きな差があります。
ただし、女性の輸送・機械運転従事者は研究対象者に占める割合が1%未満と小さく、95%信頼区間も32.6~44.5%と幅があります。男性の48.3%と同じ精度で比較できるとは限りません。
また、女性では2001年から2016年にかけて、輸送・機械運転従事者など一部の職業を除き喫煙率が低下しました。職業別の傾向を見るときには、男女別の人数や統計上のばらつきも考慮する必要があります。
【業種別喫煙率を比較】建設業・運送業は本当に高いのか
職業別ランキングと並んで参考になるのが、建設業や運送業などの業種別データです。
ここで注意したいのは、職業と業種は同じ分類ではないという点です。建設会社に勤める事務職員は、業種で見れば建設業、職業で見れば事務従事者に分類されます。
そのため、職業別ランキングと業種別ランキングを混同しないことが大切です。
協会けんぽ和歌山支部の2025年公表データ
参考になるのが、全国健康保険協会(協会けんぽ)の2025年11月公表「令和7年度調査研究報告書」に掲載された、和歌山支部の職場における喫煙対策に関する研究です。
この調査では、2023年度の健康宣言事業所のうち、回答があり健診データを確認できた641事業所、健診受診者28,062人を分析しています。
業態別に見ると、建設業の喫煙率は40.0%。製造業は28.0%、卸売・小売業は23.4%、医療・福祉は23.1%でした。
建設業は調査対象の業態の中でも高い水準です。ただし、これは全国の建設業従事者を無作為抽出した調査ではなく、和歌山支部の健康宣言事業所を対象とする分析です。全国の建設業全体の喫煙率として扱うことはできません。
運送業では道路貨物運送業などが課題に
運送業については、協会けんぽ千葉支部の資料でも特徴が示されています。
同支部の業態別分析では、道路貨物運送業やその他運送業など、運輸関係の業態で喫煙者の割合が特に高いと報告されています。建設関係では、その他の職別工事業、総合工事業、設備工事業も課題として挙げられています。
ただし、これらは千葉支部の加入者に関する分析であり、全国の業種別喫煙率を直接示す数値ではありません。
トラックドライバーの実態を示す別の研究
さらに具体的な現場の実態を示す資料として、2017年に実施されたトラックドライバー1,947人を対象とした質問紙調査があります。
2022年に「産業衛生学雑誌」に掲載された研究では、調査対象者のうち53.4%が喫煙していると回答しました。
同じ調査では、勤務日の食事時刻が不規則と答えた人が44.3%、勤務中に深夜の食事を取る人が14.4%でした。また、夜間・早朝を含む長距離運行に従事する人も一定数確認されています。
これは全国の全トラック運転手を代表する喫煙率ではありませんが、運転業務に従事する人の生活習慣や働き方を考えるうえで参考になる調査です。

【なぜ喫煙率が高い?】運送業・建設業に共通する仕事の環境
職業別喫煙率の差を理解するには、個人の嗜好だけでなく、仕事の環境や社会経済的な背景を見る必要があります。
1. 休憩時間や勤務時間が不規則になりやすい
トラック運転手などの輸送業務では、運行スケジュールや荷待ち時間、道路状況などによって休憩のタイミングが左右されます。
勤務時間が不規則な場合、食事や睡眠などの生活習慣も一定に保ちにくくなります。こうした生活環境は喫煙習慣を考える際にも無視できない要素です。
前述のトラックドライバー調査で、食事時刻が不規則と回答した人が44.3%だったことも、働き方の特徴を示しています。
2. 仕事上のストレスや疲労との関係
長時間の運転、納期への対応、交通状況への注意など、運転業務には継続的な負担があります。建設現場でも、天候や工期、安全管理など、仕事特有の緊張が伴います。
喫煙と職場ストレスの関係については、労働経済に関する研究でも、仕事上のストレスや長時間労働と喫煙習慣との関連が指摘されています。
ただし、ストレスがあるから必ず喫煙するという単純な因果関係ではありません。個人の生活歴、経済状況、健康意識なども影響します。
3. 学歴や社会経済的背景の違い
職業別喫煙率を分析した田中氏・小林氏の研究では、職業ごとに教育歴の分布が異なることも示されています。
大学以上の学歴を持つ人の割合は、管理的職業従事者、専門的・技術的職業従事者、事務従事者などで高く、輸送・機械運転従事者や生産工程・建設関係の職業では低い傾向がありました。
日本では、学歴や所得などの社会経済的要因と喫煙習慣の間に関連が報告されています。職業別の喫煙率の差には、こうした背景の違いも関わっている可能性があります。
4. 職場の喫煙環境や周囲の習慣
職場の受動喫煙について分析した日本公衆衛生雑誌の研究では、輸送・機械運転・建設・採掘の職業群で、過去1か月間に職場で受動喫煙があった人の割合が58.5%でした。
これに対して事務職は27.1%です。職業によって職場で煙にさらされる機会にも差があることが分かります。
2021年の職業別喫煙率研究では、事務職の喫煙率が低下した背景として、健康増進法の施行や職場の受動喫煙対策の進展が考察されています。オフィスでは禁煙環境を整えやすい一方、車両や屋外の作業現場では対策が難しい場合があるという構造的な違いも指摘されています。
【2026年の最新統計】国民健康・栄養調査と国民生活基礎調査の違い
2026年時点の日本の喫煙率を正確に把握するには、調査の対象年と公表年を分けて考える必要があります。
2024年の国民健康・栄養調査が最新の公表結果
厚生労働省は2025年12月2日に、令和6年(2024年)国民健康・栄養調査の結果を公表しました。その後、2026年3月18日には報告書の全体版も公開されています。
20歳以上の現在習慣的に喫煙している人の割合は、次のとおりです。
- 男女計:14.8%
- 男性:24.5%
- 女性:6.5%
この12年間で見ると、14.8%は2022年と並ぶ最低水準です。2023年の15.7%からも0.9ポイント低下しました。
なお、ここでいう喫煙者は「毎日吸っている」または「時々吸う日がある」と回答した人です。過去に喫煙していた人は含まれません。
国民生活基礎調査には2022年の職業別データがある
国民生活基礎調査は、職業と喫煙の関係を確認するための重要な統計です。
2022年調査では、e-Statに表番号64として「世帯人員(20歳以上),喫煙の有-喫煙本数-無・性・仕事の有-職業分類-無別」という統計表が公開されています。
つまり、2022年についても性別、職業分類、喫煙状況を組み合わせて確認できる基礎データがあります。
一方、2021年の職業別研究で示された年齢調整済みのランキングと、そのまま同じ条件で比較できるわけではありません。対象年齢、職業分類、集計方法をそろえる必要があります。
2024年の国民健康・栄養調査では職業別ランキングは分からない
国民健康・栄養調査の2024年公表結果では、喫煙率を男女別や年齢階級別に確認できますが、職業別の喫煙率ランキングは示されていません。
したがって、2026年現在の最新の全国喫煙率が14.8%であることと、輸送・機械運転従事者の喫煙率が2026年も48.3%であることは、同じ意味ではありません。
48.3%は2016年の職業別研究の数値です。2024年の全国平均を使って、この職業の最新値を推計することもできません。
2026年時点での統計の読み方は、次のように整理できます。
- 全国の最新喫煙率:2024年国民健康・栄養調査
- 職業別の詳細な年齢調整分析:2001~2016年の国民生活基礎調査を用いた研究
- 職業・喫煙状況の公的基礎データ:2022年国民生活基礎調査の表番号64
- 業態別の参考値:協会けんぽ各支部の調査研究
これらを区別することが、古い職業別ランキングを2026年の最新順位と誤認しないためのポイントです。

【プロの結論】喫煙率の高い職業を判断するときに重要なこと
職業別喫煙率のデータから読み取れるのは、特定の仕事に就く人を一括りに評価することではありません。喫煙習慣に関係する働き方や職場環境の違いを把握することです。
職業名だけで喫煙率を決めつけない
同じ運送業でも、長距離運転、近距離配送、事務管理、倉庫作業では仕事の内容が異なります。建設業でも、現場作業員と設計担当者、営業担当者では勤務環境が違います。
業種全体の数字を、そこに所属するすべての人に当てはめることは適切ではありません。
喫煙対策は職場の実情に合わせる
協会けんぽ和歌山支部の研究では、禁煙を促す取組と受動喫煙防止対策の両方を実施する事業所の喫煙率は25.9%でした。一方、両方を実施していない、またはいずれか一方だけの事業所では27.6%でした。
両方の取組を行う事業所の方が統計的に有意に低い結果となっています。これは、職場の環境整備が喫煙対策に関係することを示す参考データです。
ただし、事業所の規模や業態によって結果は異なり、取組だけで喫煙率の差がすべて説明できるわけではありません。
2026年に押さえておきたい判断基準
喫煙率に関するランキングや記事を読む場合は、次の4点を確認すると情報の精度を判断しやすくなります。
- 調査年:調査を実施した年と結果を公表した年が一致しているか。
- 対象者:20歳以上なのか、25~64歳なのか、特定企業の従業員なのか。
- 集計方法:年齢調整済みなのか、単純な回答者割合なのか。
- 調査範囲:全国調査なのか、特定地域や健康保険加入者に限定した調査なのか。
特に、職業別研究と協会けんぽの業態別データでは対象者も分類方法も異なります。数字の大小だけで順位を決めるのではなく、何を対象にした調査なのかを確認することが欠かせません。
【喫煙率の高い職業】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:日本で最も喫煙率が高い職業は何ですか?
A1:2021年に発表された国民生活基礎調査の分析では、男女とも輸送・機械運転従事者が最も高い結果でした。2016年の数値は男性48.3%、女性38.5%です。ただし、これは2016年の調査結果であり、2026年の最新順位ではありません。
Q2:建設業と運送業ではどちらの喫煙率が高いですか?
A2:調査対象や分類方法が異なるため、全国一律の数値で単純比較することはできません。協会けんぽ和歌山支部の2023年度データでは建設業が40.0%と高く、千葉支部の資料では道路貨物運送業やその他運送業も喫煙率の高い業態として報告されています。
Q3:事務職は本当に喫煙率が低いのですか?
A3:はい。2001~2016年の職業別研究では、事務従事者は男女とも最も低い職業区分でした。2016年の数値は男性27.9%、女性9.4%です。オフィスでの受動喫煙対策の進展や教育歴の違いなどが背景として考察されています。
Q4:2026年の日本全体の喫煙率は何%ですか?
A4:2026年11月時点で確認できる最新の厚生労働省公表値は、2024年国民健康・栄養調査の14.8%です。男性24.5%、女性6.5%となっています。
Q5:職業別の喫煙率は今後も低下していくのでしょうか?
A5:全国の喫煙率は長期的に低下していますが、職業ごとの低下速度は同じではありません。特に輸送・機械運転従事者などでは、働き方や職場環境に合わせた継続的な禁煙支援が課題です。2026年以降の職業別の変化を判断するには、新しい調査データの蓄積が必要です。
まとめ:2026年も運輸・建設業の喫煙対策が重要な課題
喫煙率が高い職業について、国民生活基礎調査を用いた研究や厚生労働省の最新統計、協会けんぽの業態別調査を確認すると、輸送・機械運転従事者や建設業、運送業における喫煙習慣が重要な論点として浮かび上がります。
職業別研究では、輸送・機械運転従事者が男女とも最高で、事務従事者が最低でした。また、協会けんぽ和歌山支部の調査では建設業の喫煙率が40.0%となっています。
一方、2024年の国民健康・栄養調査では日本全体の喫煙率が14.8%となり、長期的な低下傾向も確認されています。
大切なのは、古い職業別ランキングを2026年の確定順位として扱わないことです。全国平均、職業別研究、業種別調査をそれぞれの対象と調査年に合わせて読み解く必要があります。
喫煙率の改善には、個人への禁煙支援だけでなく、休憩環境の整備、受動喫煙防止、職場全体での健康づくりも欠かせません。今後は、運輸業や建設業など、それぞれの仕事の実態に合わせた対策と、職業別データの継続的な公表が求められます。
主な検証資料
- 田中宏和・小林廉毅「職業別喫煙率とその推移」(日本公衆衛生雑誌、2021年)。
- 厚生労働省「令和6年国民健康・栄養調査結果」。
- e-Stat「令和4年国民生活基礎調査」表番号64。
- 全国健康保険協会「令和7年度調査研究報告書」。
- トラックドライバーの健康障害と労働生活要因に関する研究。 (出典: 喫煙 率 高い 職業(Yahoo!ニュース))