【創業の経緯】びっくりドンキーは盛岡市の13坪の店から始まった
びっくりドンキーの歴史をたどると、最初に登場するのは北海道でも東京でもなく、岩手県盛岡市です。
1968年12月15日、盛岡市の日の出会館に誕生したのが「ハンバーガーとサラダの店・べる」でした。店舗面積はわずか13坪。現在の全国規模のレストランチェーンからは想像しにくい、小さな飲食店が原点です。
創業者・庄司昭夫がハンバーガーに可能性を見いだした理由
創業者の庄司昭夫氏は、起業を目指して全国各地を巡っていました。その途中で出会ったのがハンバーガーです。
当時の日本では、ハンバーガーは現在ほど日常的な食べ物ではありませんでした。庄司氏は、その新しい食文化に可能性を感じ、盛岡市の繁華街に自分の店を開くことを決意します。
株式会社アレフの公式沿革でも、庄司氏が全国行脚の途中でハンバーガーに新しい時代を感じ、13坪の店舗を開店した経緯が紹介されています。
「小さな店であることを恥じることはない」という創業時の精神
創業当時の「べる」の店内には、次の言葉が掲げられていました。
小さな店であることを恥じることはないよ。その小さなあなたの店に人の心の美しさを一杯に満たそうよ
【検証資料 1】びっくりドンキー 創業の当時の様子・関連報道写真(出典:Yahoo!ニュース)
この一節は、商業指導家・岡田徹氏の詩集に由来するものです。
単に小さな店舗を励ます言葉ではありません。店の規模や豪華さよりも、訪れる人に何を提供できるかを大切にする考え方が込められています。
現在も株式会社アレフは、この言葉を企業の道標として紹介しています。
創業時の13坪という規模は、ブランドの歴史を語るうえで象徴的な数字です。大きな店舗や全国展開を最初から目指したというより、まず目の前のお客様に喜んでもらうことから始まった点に、びっくりドンキーの原点があります。
【創業者・庄司昭夫の思い】店名の由来と独創的な店づくり
びっくりドンキーという名前には、単なるインパクト狙いではない、創業者の店舗運営に対する考え方が反映されています。
「びっくり」と「ドンキー」に込められた意味
株式会社アレフの公式説明によると、店名には大きく2つの願いが込められています。
- びっくり: 楽しいことが次々に起こり、お客様を驚かせ、ワクワクさせる店にしたい。
- ドンキー: ロバのように優しいまなざしで人々の暮らしに寄り添い、社会の役に立つ店にしたい。
創業者の庄司昭夫氏は、人をニコニコさせたり、楽しませたりすることが好きだったと公式沿革で紹介されています。
つまり、びっくりドンキーという店名は、驚きや楽しさと、親しみやすさや社会への貢献を組み合わせたブランド思想を表しているのです。
1972年のベル大通店が独創的な店舗づくりの原点
創業から4年後の1972年、盛岡市に「ベル大通店」が開店しました。
この店舗では、スタッフが総出で内装を手掛ける取り組みが始まりました。
公式ヒストリーによると、その背景にあったのは「手作りの温かさを表現したい」という思いです。
店舗ごとにテーマを設定し、外観や内装に個性を持たせるスタイルは、現在のびっくりドンキーにも受け継がれています。
一般的なファミリーレストランでは、店舗のデザインを統一することで運営効率を高める方法もあります。一方、びっくりドンキーは、店ごとの個性や訪問する楽しさをブランドの特徴として育ててきました。
この違いは、単に建物の見た目を変えているだけではありません。食事をする時間そのものを楽しんでもらいたいという、創業時の考え方に結び付いています。
【びっくりドンキーの歴史年表】1968年から1987年までの重要な転換点
びっくりドンキーの歴史を理解するには、店舗の誕生、看板メニューの開発、会社設立、ブランド名の変更を分けて見ることが大切です。
特に1976年の会社設立と1987年の社名変更は、現在の株式会社アレフにつながる重要な節目です。
創業から現在までの主な出来事
| 年月 | 出来事 | 歴史的な意味 |
|---|---|---|
| 1968年12月15日 | 盛岡市に「べる」創業 | 13坪の店舗からスタート |
| 1972年 | ベル大通店を開店 | 独創的な店づくりの原点 |
| 1973年 | ハンバーグディッシュの原型が誕生 | 現在の看板メニューにつながる |
| 1976年7月 | カウベルカンパニー株式会社設立 | 企業としての基盤を整備 |
| 1977年 | 福島市内に初出店 | 岩手県外へ進出 |
| 1980年 | 札幌市内に初出店 | 北海道への展開 |
| 1983年 | フランチャイズ事業開始 | 全国展開に向けた仕組みを構築 |
| 1985年 | 関東地区に初出店 | 首都圏方面へ進出 |
| 1986年 | 店名を「びっくりドンキー」に変更 | ブランド名を確立 |
| 1987年5月 | 株式会社アレフに商号変更 | 現在の企業名へ |
| 1994年 | 100店舗達成 | チェーン規模が拡大 |
| 1999年 | 200店舗達成 | 全国展開が進展 |
| 2010年 | 300店舗達成 | 大規模チェーンへ成長 |
| 2022年 | 徳島県に出店 | 全国45都道府県に展開 |
| 2023年 | 創業55周年 | 公式ファンブックも発売 |
| 2026年 | 全国約350店舗規模 | 創業から58年目 |
1976年のカウベルカンパニー設立は何を意味する?
1976年7月、岩手県盛岡市でカウベルカンパニー株式会社が設立されました。
ここで押さえておきたいのは、1968年は創業、1976年は会社設立という違いです。
飲食店としての営業開始と、法人としての会社設立は別の出来事です。
びっくりドンキーの創業年を調べる際に、1976年を創業年として扱ってしまうと、実際の歴史より8年遅くなってしまいます。
株式会社アレフの公式会社概要でも、創業は1968年12月、設立は1976年7月と明確に区別されています。
1986年の店名変更と1987年の社名変更は別の出来事
この2つは混同されやすいポイントです。
- 1986年:店舗ブランドの名称を「びっくりドンキー」に変更。
- 1987年5月:運営会社の商号をカウベルカンパニー株式会社から株式会社アレフへ変更。
つまり、1986年に変わったのはお客様が店舗で目にするブランド名、1987年に変わったのは企業の正式名称です。
なお、過去の社内環境報告書には1981年に札幌でハンバーグ限定レストラン「びっくりドンキー」が誕生したとの記録もあります。札幌への進出や専門業態の誕生と、1986年の店名変更は、異なる沿革上の出来事として整理する必要があります。
【ハンバーグディッシュ誕生】1973年に生まれた看板メニューの原型
びっくりドンキーの歴史を語るうえで欠かせないのが、現在も看板メニューとして親しまれているハンバーグディッシュです。
実は、創業当初から現在と同じハンバーグディッシュを提供していたわけではありません。
ハンバーガーからハンバーグランチへ方向転換
創業時の「べる」は、店名のとおりハンバーガーとサラダを中心とする飲食店でした。
その後、1972年ごろに主力メニューをハンバーガーからハンバーグランチへ転換します。
そして1973年、木の皿にハンバーグ、サラダ、ライスを盛り付けた、現在のハンバーグディッシュの原型が誕生しました。
この変化は、びっくりドンキーの事業を理解するうえで重要です。
ハンバーガー専門店としてスタートした店が、日本の食事スタイルに合わせたハンバーグレストランへと方向転換したことで、現在につながる商品構成が形づくられたからです。
木の皿に盛り付けるワンプレート形式の特徴
ハンバーグディッシュの特徴は、ハンバーグ、ライス、サラダを一枚の木の皿に盛り付けるスタイルです。
それぞれの料理を別々の皿で提供するのではなく、一皿にまとめることで、食事全体を一つのメニューとして楽しめます。
また、ハンバーグだけでなくサラダも一緒に提供する構成は、創業時の「ハンバーガーとサラダの店」という出発点ともつながっています。
この商品開発の歴史から見えてくるのは、びっくりドンキーが単にハンバーグを販売する店ではなく、食事の組み立て方や提供スタイルそのものを工夫してきたブランドだということです。
現在の看板商品は、創業から約5年の試行錯誤を経て生まれたものなのです。
【株式会社アレフの誕生】社名変更の理由と企業としての成長
1987年5月、カウベルカンパニー株式会社は株式会社アレフへ商号を変更しました。
現在のびっくりドンキーを運営する企業名が誕生した節目です。
アレフという社名の意味
株式会社アレフの公式説明によると、アレフという名称はフェニキア文字に由来します。
この文字には、基本や最上級、物事の起源といった意味が込められています。
会社側は、社名とシンボルマークについて、次のような考え方を示しています。
- 常に基本を忘れない。
- 最上を目指す。
- 自然や生命を大切にする。
- 食文化を追求する。
つまり、アレフへの社名変更は単なる名称変更ではなく、飲食事業を通じて何を実現するかという企業理念を示す意味も持っています。
びっくりドンキーから食と農業、環境への取り組みへ
株式会社アレフの事業は、ハンバーグレストランの運営だけにとどまりません。
公式沿革を見ると、1990年代以降、食材の生産や加工、環境への取り組みが広がってきたことが分かります。
主な転換点は次のとおりです。
- 1988年: 北海道で農業の研究に着手。
- 1990年: 農業生産法人「有限会社アレフ牧場」(現・株式会社牧家)の設立を支援。
- 1993年: 点字メニューや入口スロープ、車いす対応トイレなどの取り組みを開始。
- 1995年: 自社製ビール「小樽ビール」の醸造を開始。
- 1997年: 店舗への生ごみ粉砕乾燥処理機の導入を開始。
- 2006年: 北海道恵庭市に「えこりん村」を開業。
- 2007年: 北海道恵庭市に食品加工場を開業。
これらは、外食事業を中心に、食材の調達や加工、農業、環境保全まで事業領域を広げてきた歩みです。
【2026年最新】びっくりドンキーは創業58年目、全国349店舗へ
2026年11月時点で、びっくりドンキーは創業から58年目を迎えています。
株式会社アレフの公式会社概要によると、2026年10月31日現在の店舗数は次のとおりです。
びっくりドンキーの国内店舗数
直営店舗
フランチャイズ店舗
株式会社アレフの飲食店舗合計
363店舗
2026年の企業規模と事業展開
同社の公式会社概要に掲載されている2026年3月期の売上高は594億円です。
また、2026年3月31日現在の従業員数は、社員776人、パート3,147人(1人1日8時間換算の平均人員数)となっています。
創業時の13坪の店舗と比較すると、事業規模が大きく拡大したことが分かります。
2026年も続くブランドの進化
2026年には、店舗運営や働きやすさに関する取り組みも進んでいます。
株式会社アレフは2026年8月、アルバイト用の新ユニフォームの導入を発表しました。
新ユニフォームは、性別や職種による区別をなくし、帽子・シャツ・エプロンを組み合わせられるデザインです。軽量化や吸汗速乾などの機能性に加え、衛生面や使用済みユニフォームの繊維リサイクルにも配慮しています。
同社の発表では、全国130店舗で先行導入を完了し、順次全店へ展開するとしています。
創業当時から続く「お客様に楽しんでもらう」という考え方は、料理や店舗の内装だけでなく、働く環境や企業活動にも広がっています。
【よくある誤解を解消】びっくりドンキーの創業に関する疑問
びっくりドンキーの歴史には、創業年や会社設立年、店舗名と会社名など、混同しやすいポイントがあります。
ここでは、検索されやすい疑問を整理します。
創業したのは北海道ではなく岩手県?
はい。創業地は北海道ではなく、岩手県盛岡市です。
1968年12月15日に「ハンバーガーとサラダの店・べる」が誕生しました。北海道への初出店は1980年です。現在の本社が札幌市にあることから、創業地も北海道だと誤解されることがあります。
最初の13坪の「べる」と現在のベル大通店は同じ店舗?
厳密には別の店舗として整理されています。
最初の13坪の「べる」は盛岡市の日の出会館に1968年に開店し、1973年1月まで営業しました。
一方、1972年に開店したベル大通店は別の店舗です。公式ヒストリーでは、現在も「ベル」の看板を残して営業する店舗として紹介されています。
そのため、創業店舗と現在のベル大通店を同一の店舗として扱わないことが、歴史を正しく理解するポイントです。
株式会社アレフは1987年に創業した会社?
いいえ。創業は1968年、会社設立は1976年、株式会社アレフへの商号変更は1987年です。
3つの年を区別することが大切です。
【びっくりドンキーの創業に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:びっくりドンキーの創業年は何年ですか?
A1:1968年です。正確には1968年12月15日、岩手県盛岡市の日の出会館に「ハンバーガーとサラダの店・べる」が開店しました。
Q2:びっくりドンキーの創業者は誰ですか?
A2:庄司昭夫氏です。起業を目指して全国を巡るなかでハンバーガーに可能性を感じ、盛岡市で13坪の店舗を開業しました。
Q3:びっくりドンキーの1号店はどこですか?
A3:岩手県盛岡市の日の出会館に開店した「ハンバーガーとサラダの店・べる」です。現在のベル大通店とは別の店舗です。
Q4:カウベルカンパニー株式会社はいつ設立されましたか?
A4:1976年7月です。岩手県盛岡市で設立され、1987年5月に株式会社アレフへ商号変更しました。
Q5:びっくりドンキーという名前になったのは何年ですか?
A5:株式会社アレフの公式沿革では1986年とされています。店名には、お客様を驚かせて楽しませたいという庄司昭夫氏の思いと、ロバのように人々の暮らしに寄り添いたいという願いが込められています。
Q6:ハンバーグディッシュはいつ誕生しましたか?
A6:1973年です。木の皿にハンバーグ、サラダ、ライスを盛り付けた現在のメニューの原型が誕生しました。
Q7:2026年現在、びっくりドンキーは何店舗ありますか?
A7:株式会社アレフの公式会社概要によると、2026年10月31日現在で349店舗です。内訳は直営129店舗、フランチャイズ220店舗です。
まとめ:びっくりドンキーの歴史は13坪の「べる」から始まった
びっくりドンキーの創業は1968年12月15日。岩手県盛岡市の13坪の小さな店舗「ハンバーガーとサラダの店・べる」が、現在のブランドにつながる原点でした。
創業者・庄司昭夫氏がハンバーガーに可能性を感じて始めた店は、1973年のハンバーグディッシュの原型誕生、1976年のカウベルカンパニー設立、1986年の店名変更、1987年の株式会社アレフへの商号変更を経て、全国規模のレストランチェーンへ成長しました。
2026年10月31日現在、びっくりドンキーは全国349店舗を展開しています。創業から58年目を迎えた現在も、店舗づくりや食材へのこだわり、環境への取り組みなどを続けています。
その歴史を振り返ると、びっくりドンキーの成長を支えてきたのは、単なるハンバーグの人気だけではありません。小さな店でも人を喜ばせること、食事の時間を楽しいものにすること、そして食を通じて社会に役立つこと。1968年の創業時から大切にされてきた考え方こそが、58年にわたるブランドの歩みを理解する鍵となっています。
主な参考資料
- 株式会社アレフ「アレフのあゆみ」
- 株式会社アレフ「会社概要」
- びっくりドンキー公式「ドンキーヒストリー」
- 株式会社アレフ「2026年8月 新ユニフォーム導入のお知らせ」
- ITmedia ビジネスオンライン「店の前にトラクター!? 個性的な『びっくりドンキー』が全国各地に存在する理由」 (出典: びっくり ドンキー 創業(Yahoo!ニュース))