鬼滅の刃の作画はなぜすごい?ufotableの技術と無限城編を徹底解説
2026年11月現在、アニメ『鬼滅の刃』の作画は、日本のアニメーション表現を代表する作品の一つとして高い評価を受けている。特に注目されているのが、キャラクターの繊細な手描き作画、水の呼吸などの流麗なエフェクト、立体的に動く背景、そして光と色彩を組み合わせた映像演出だ。制作を担当するufotable(ユーフォーテーブル)は、これらを単純に手描きだけで実現しているわけではない。
2025年7月18日に公開された『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』では、テレビシリーズから積み重ねてきた作画と3DCGの融合が、劇場作品ならではのスケールへと発展した。2026年7月29日にはBlu-ray・DVDも発売され、同年2月にはufotableのプロモーションリールで第二章の存在も改めて示されている。ここでは公式スタッフ情報、制作スタッフの技術インタビュー、作品の変遷、視聴者の評価をもとに、鬼滅の刃の作画がすごい理由と、その実態を解説する。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 作画がすごい理由:手描きアニメーション、3DCG、撮影、色彩設計が一体となって映像を構成している。
- 制作の秘密:ufotableは作画とCGの得意分野をカットごとに検討し、キャラクターの芝居と背景の立体感を両立させている。
- 主要スタッフ:監督は外崎春雄、キャラクターデザイン・総作画監督は松島晃、撮影監督・フィニッシング演出監督は寺尾優一。
- 2026年最新状況:無限城編第一章は2026年4月に通常上映の大半が終了し、7月29日に映像ソフトが発売された。
- 今後の注目点:2026年2月の公式プロモーションリールでは無限城編第二章がFuture Projectsとして紹介された。
【徹底解説】鬼滅の刃の作画がすごい理由は?ufotable独自の映像表現に迫る
『鬼滅の刃』の映像を見て、多くの人が最初に驚くのは、キャラクターの動きと背景、エフェクトが一体となった画面の密度だろう。
しかし、その迫力は単純に作画枚数が多いから生まれるものではない。重要なのは、どの部分を人の手で描き、どの部分をCGで構築し、最後にどのような映像として仕上げるかという判断にある。
1. キャラクターの感情を伝える手描き作画
鬼滅の刃のアクションでは、剣を振るう瞬間だけでなく、攻撃を受けた際の身体の傾き、足の踏み込み、視線、表情の変化まで細かく描かれている。
例えば、炭治郎が敵との距離を詰める場面では、単にキャラクターを移動させるのではなく、重心の移動や呼吸のタイミングまで映像に反映させることで、剣技に説得力を与えている。
手描き作画の強みは、こうした人間の感情や動きを、カットごとに柔軟に誇張できる点だ。現実の物理法則を正確に再現するだけでは得られない、アニメーション特有の迫力を生み出せる。
2. 水の呼吸や炎の呼吸を印象づけるエフェクト
鬼滅の刃を象徴する映像表現が、各キャラクターの呼吸に合わせて展開される技のエフェクトだ。
炭治郎の水の呼吸では、青い水流が波や渦を描きながら画面を横切る。冨岡義勇の水の呼吸では、流れるような曲線と剣の動きが組み合わさり、静けさと鋭さが同時に伝わる。
一方、煉獄杏寿郎の炎の呼吸は、赤や橙を中心とした色彩と勢いのある炎の形状によって、力強さや熱量を表現している。
ここで重要なのは、呼吸のエフェクトが単なる装飾ではないことだ。キャラクターの動作、技の性格、戦闘のリズムを視覚的に補強する役割を担っている。
3. 背景とカメラワークによる立体感
もう一つの特徴は、背景が単なる静止画ではなく、カメラの動きと連動する映像空間として構築されていることだ。
特に無限城では、上下左右に複雑に入り組んだ建築物が、キャラクターの移動や戦闘に合わせて次々と視界に現れる。視聴者は登場人物と一緒に空間を移動しているような感覚を得られる。
この表現を支えるのが3DCGと撮影技術だ。背景の奥行き、カメラの移動、光の変化を連携させることで、平面的な映像に立体的な広がりを与えている。
つまり、鬼滅の刃の作画がすごい理由は、一枚一枚の絵の美しさだけではない。動き、背景、エフェクト、色彩、撮影が同じ方向を向いていることにある。

【制作の実態】ufotableの手描き作画と3DCGはどう融合している?
鬼滅の刃には「ほとんどすべて手描きで作られている」というイメージを持つ視聴者もいる。しかし、実際の制作工程はもっと複雑だ。
2020年9月30日に公開されたオートデスクの制作インタビューでは、撮影監督の寺尾優一と3D監督の西脇一樹が、テレビアニメ『鬼滅の刃』の制作工程について詳しく説明している。
手描きと3DCGは競争するものではない
ufotableの制作方法を理解するうえで重要なのは、手描きと3DCGを対立する技術として捉えないことだ。
キャラクターの表情や複雑な身体表現には手描きが適している。一方、建物の立体構造や複雑なカメラ移動、繰り返し登場する物体などは、3DCGを活用することで空間の整合性を保ちやすくなる。
寺尾と西脇のインタビューでは、CGによるプレビュー映像を制作し、それを見ながら作画で表現する部分とCGで表現する部分を検討する工程が紹介されている。
つまり、最初からすべてのカットを手描き、あるいはCGと決めつけるのではなく、作品の見せ方に合わせて適切な方法を選んでいる。
水の呼吸はどのように生まれたのか
水の呼吸の表現も、こうした共同作業から生まれたものだ。
西脇一樹は、制作初期に3ds Maxを使用してビジュアルの試作を制作したことを明かしている。原作の絵の印象を踏まえ、浮世絵風の表現を目指して研究し、複数のパターンを監督たちに提示したという。
その後、プレビュー映像を更新しながら、どこを作画で表現し、どこにCGを使うかを検討していった。
この工程が示しているのは、水の呼吸を単純な水のシミュレーションとして作っているわけではないということだ。浮世絵のような意匠、アニメーションの動き、CGの立体表現を組み合わせ、鬼滅の刃独自の視覚表現に仕上げている。
無限城や鬼の身体にもCGが活用されている
制作インタビューでは、テレビアニメ第26話に登場する無限城の背景を3ds Maxで制作したことも明かされている。
寺尾は同話の無限城のシーンで一連の絵コンテを担当。西脇は城の構造設計やカメラワークについて説明している。
特に印象的なのは、城の構造をカットごとに調整していたという点だ。あるショットでは、構造設計だけで約30パターンを試作したという。単に同じ建物を繰り返し映すのではなく、無限に続くような不思議な空間を映像として成立させるための工夫だった。
また、鬼の身体の一部にもCGが使用されている。インタビューで紹介された累の兄は、顔が手描きで身体がCGという構成だった。全身の毛の表現など、手描きだけでは負担が大きい部分をCGで補っている。
蜘蛛の糸の技の一部には3ds MaxのプラグインであるtyFlowが使用されたほか、鋼鐵塚の風鈴や鎹鴉などにもCGが活用された。
CGが作画の時間を生み出すという考え方
CGの役割は、単に作画を減らすことではない。
例えば建物を最初に3Dモデルとして制作しておけば、背景担当者は毎回ゼロからパースを描く必要がなくなる。カメラの角度を変えても空間の整合性を保ちやすく、キャラクターの作画により多くの時間を割ける。
寺尾と西脇が説明しているのは、CGによって作画スタッフの負担を適切に分散し、人の手でなければ生み出しにくい表現に集中できる環境を作るという考え方だ。
この点こそ、ufotableの作画と3DCGの融合を理解するための重要なポイントである。
【スタッフ相関と役割】外崎春雄・松島晃・寺尾優一が支える制作体制
鬼滅の刃の映像品質を語る際、特定のアニメーター一人だけに注目するのは十分ではない。作品全体の映像を成立させるには、監督、作画、美術、撮影、CG、色彩設計など複数の専門スタッフによる連携が欠かせない。
『無限城編 第一章 猗窩座再来』の公式スタッフ情報では、それぞれの担当が明確に記載されている。
主要スタッフの担当と制作上の役割
- 外崎春雄:監督。作品全体の演出方針やキャラクターの芝居、映像表現を統括する。
- 松島晃:キャラクターデザイン・総作画監督。キャラクターの基本デザインや作画の統一感を担う。
- 寺尾優一:撮影監督・フィニッシング演出監督。作画、背景、CGなどの素材を最終的な映像へまとめる工程を担当する。
- 西脇一樹:3D監督。3DCGによる空間や物体、映像表現の設計を担う。
- 大前祐子:色彩設計。キャラクターや作品全体の色彩表現を設計する。
- 近藤光:総監督。作品全体の制作を統括する。
- 衛藤功二:美術監督。背景美術の方向性と画面の世界観を支える。
撮影監督・寺尾優一の仕事が重要な理由
アニメーションにおける撮影とは、実写映画のようにカメラで被写体を撮影することとは異なる。
作画、背景、CG、エフェクトなどの素材をデジタル上で合成し、一つの映像として仕上げる工程を指す。
例えば、青い水流のエフェクトと炭治郎の動き、背景の光や影を別々に制作した場合、それらを違和感なく一つの画面にまとめる必要がある。光の強さや奥行き、色の調整によって、同じ素材でも映像の印象は大きく変わる。
寺尾は無限城編第一章で、撮影監督に加えてフィニッシング演出監督も担当している。最終的な画面の完成度を左右する重要なポジションだ。
総作画監督・松島晃が担うキャラクターの統一感
松島晃は、テレビシリーズから劇場版までキャラクターデザインと総作画監督を担当してきた中心的なスタッフである。
総作画監督の仕事は、すべての原画を一人で描くことではない。複数の作画スタッフが制作したカットを確認し、キャラクターの顔や身体のバランス、表情、線の印象などを整えることにある。
戦闘中に顔の向きが大きく変わったり、激しい動きで身体が変形したりしても、キャラクターとしての印象が崩れないのは、こうした作画管理があるからだ。
外崎春雄が作品全体の演出をまとめ、松島晃がキャラクター表現を統一し、寺尾優一や西脇一樹らが映像の完成度を高める。この役割分担が鬼滅の刃の制作体制を支えている。

【歴代比較】立志編から遊郭編・刀鍛冶の里編・無限城編まで作画はどう進化した?
鬼滅の刃の作画は、最初から現在の劇場版と同じ映像表現だったわけではない。テレビシリーズの展開とともに、背景、エフェクト、カメラワーク、戦闘演出が作品ごとに発展してきた。
公式ポータルに掲載されている作品の放送・公開履歴と、各作品のスタッフ情報を踏まえると、次のように整理できる。
| 作品・時期 | 作画・映像表現の特徴 | 注目ポイント |
|---|---|---|
| 竈門炭治郎 立志編(2019年) | 手描きキャラクターと水の呼吸などのエフェクトの融合 | 作品独自の和風アクション表現を確立 |
| 無限列車編(2020年) | 劇場作品ならではの密度の高い戦闘と背景表現 | 炎や煙、列車の動きによるスピード感 |
| 遊郭編(2021年~2022年) | 夜の街並み、光、爆発、複数のキャラクターが絡む戦闘 | 宇髄天元と上弦の陸との戦闘における映像演出 |
| 刀鍛冶の里編(2023年) | 自然環境や建築物を生かした背景と多彩な呼吸表現 | 霞の呼吸、恋の呼吸など異なる技の視覚化 |
| 柱稽古編(2024年) | 人物描写や静かな場面から決戦へ向かう演出 | 無限城編につながる物語と映像の転換 |
| 無限城編 第一章(2025年) | 大規模な3DCG空間と手描きアクションの融合 | 立体的な背景、複雑なカメラワーク、劇場映像の密度 |
立志編:水の呼吸で作品独自の映像表現を確立
2019年に放送された立志編は、鬼滅の刃の映像表現の基礎を築いた作品だ。
特に那田蜘蛛山での戦闘では、水の呼吸や蜘蛛の糸など、原作の印象的な技をアニメーションならではの動きとして表現した。
背景とエフェクトの組み合わせによって、漫画の静止画では伝えにくい速度や動きの方向まで視覚化している。
無限列車編:劇場作品としての映像密度
2020年公開の『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』では、テレビシリーズから映画へと映像表現の舞台が広がった。
列車の移動、炎、煙、戦闘時のカメラワークなど、長時間の劇場鑑賞に耐える映像設計が特徴となった。
テレビシリーズと比較する場合、単純に作画の良し悪しを判断するよりも、劇場の大画面と音響を前提とした演出の違いに注目すると理解しやすい。
遊郭編:光と爆発を使った激しい戦闘演出
遊郭編では、夜の街並みや建物の光、爆発などを生かしたアクションが印象的だった。
宇髄天元と妓夫太郎の戦闘では、複数の攻撃が交差する状況を、色彩やエフェクト、カメラワークによって整理している。
派手な映像でありながら、キャラクターの位置関係や攻撃の方向が理解できるように構成されている点が見どころだ。
刀鍛冶の里編・柱稽古編:表現の幅と物語の緊張感
刀鍛冶の里編では、霞の呼吸や恋の呼吸など、それぞれの技の性格に合わせた色彩とエフェクトが使われた。
また、自然や建築物を生かした背景によって、戦闘空間の印象も多様になっている。
柱稽古編では激しい戦闘だけでなく、キャラクター同士の会話や表情、静かな場面が物語の重要な役割を担った。最終盤では、無限城へとつながる演出によって、次の劇場作品への期待を高めている。
無限城編第一章:背景そのものが物語を動かす
無限城編第一章では、これまで積み上げてきた表現技術が大規模な空間演出に結びついた。
無限城は単に美しい背景ではない。上下左右の感覚が揺らぐ空間そのものが、登場人物の不安や緊張、戦闘の激しさを表現している。
キャラクターが移動するだけで背景の見え方が大きく変わり、カメラの動きによって空間の広さや複雑さが伝わる。
そのため、テレビシリーズからの進化を感じるには、単純な線の細かさではなく、空間をどう動かしているかを比較することが重要だ。
【評判を検証】鬼滅の刃の作画は本当にすごい?高評価と好みが分かれる理由
鬼滅の刃の作画に対する評価は、映像の美しさだけでは説明できない。特に無限城編第一章では、戦闘シーン、背景、光、音響などが組み合わさった映像体験が評価されている。
評価されているのは作画単体ではなく映像全体
2025年7月18日の公開日に合わせたAV Watchのレビューでは、無限城の映像美やアクションの迫力、背景の描写などが取り上げられた。
シネマトゥデイの映画短評でも、激しいアクション、技のビジュアル、奥行きのある背景、劇伴音楽が組み合わさることで、作品への没入感が高まっている点が評価されている。
ここから分かるのは、視聴者が評価している対象が、単純なキャラクターの作画だけではないということだ。
背景の奥行き、光の方向、カメラの動き、音楽のタイミングまで含めた総合的な演出が、作品の迫力につながっている。
一方でテンポやエフェクトの好みは分かれる
すべての視聴者が同じ部分を評価しているわけではない。
映画レビューには、作画や映像美を高く評価する一方で、回想シーンの長さや物語のテンポに関して意見を述べるものもある。また、水墨画や劇画を思わせる攻撃エフェクトについて、迫力があると感じる人がいる一方、従来のアニメらしい滑らかな表現を好む人には印象が異なる場合もある。
これは作品の品質とは別に、視覚表現に対する好みが存在することを示している。
興行成績から見える作品の支持
無限城編第一章の興行成績も、作品に対する大きな支持を示すデータだ。
2026年4月10日に発表された最終興行成績によると、2026年4月9日までの全世界累計観客動員は9852万310人、総興行収入は1179億1753万9329円だった。
日本国内では観客動員2745万5968人、興行収入402億1900円を記録している。国内興行収入では歴代2位となり、日本映画として史上2作目の400億円突破を達成した。
ただし、興行成績は作品の人気を示す指標であり、作画技術そのものを数値化したものではない。映像表現の評価と興行上の成功は、分けて考える必要がある。
それでも、テレビシリーズから続く映像表現が、世界規模の観客に届いたことは、鬼滅の刃のアニメーション制作を考えるうえで重要な事実だ。

【2026年最新】無限城編第一章の作画と第二章の制作動向
2026年11月6日時点で、鬼滅の刃の映像表現を語るうえで中心となる作品は、劇場版『無限城編 第一章 猗窩座再来』だ。
2026年4月9日に大半の劇場で上映終了
アニメ公式サイトは2026年4月10日、2025年7月18日から上映されていた第一章について、一部劇場を除き、2026年4月9日をもって終映したと発表した。
長期間にわたる劇場公開は、作品が幅広い観客に支持されたことを示している。
2026年7月29日にBlu-ray・DVD発売
第一章のBlu-ray・DVDは2026年7月29日に発売された。
完全生産限定版には、キャラクターデザイン・総作画監督を務めた松島晃による描き下ろし収納BOXやデジジャケット、劇伴音楽集、特典映像、スタッフとキャストの制作への思いや注目ポイントを収録したブックレットなどが用意されている。
映像を細かく確認したい人にとっては、テレビや映画館とは異なる環境で作品の画面設計を見直せる機会となる。
2026年2月に第二章の存在が改めて示される
2026年2月21日、ufotableは公式サイトでプロモーションリールの公開を告知した。
同映像では、Future Projectsとして『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第二章』が紹介された。これにより、第一章の続編となる第二章の存在が改めて示されている。
ただし、第二章の具体的な公開日、正式な副題、詳しい制作スケジュールなどは、公開された映像だけでは判断できない。
「2027年公開」などの予想情報を公式決定事項として扱うのは適切ではない。今後の発表はufotableおよび鬼滅の刃公式の情報を基準に確認したい。
2026年4月からテレビシリーズ全編再放送も開始
フジテレビでは2026年4月5日から、テレビアニメ『鬼滅の刃』シリーズ全編の再放送が始まった。毎週日曜午前9時30分からの放送枠で、立志編から続く物語を振り返る機会となっている。
第一章を見た後に立志編や遊郭編などを見直すと、キャラクターの動きや呼吸の表現、背景の作り方がどのように発展してきたかを比較しやすい。
【プロの結論】鬼滅の刃の3DCGの見分け方と作画を正しく評価するポイント
鬼滅の刃の作画をさらに深く楽しむなら、手描きかCGかを当てることだけを目的にしないほうがよい。
重要なのは、それぞれの技術が何のために使われ、最終的な映像にどのような効果を与えているかを理解することだ。
3DCGが使われている可能性を考えるポイント
アニメーションを見る際、次のような特徴は3DCGの活用を考える手掛かりになる。
- 複雑なカメラ移動:建物や背景が連続して回転し、奥行きの整合性が保たれている。
- 立体物の連続した動き:同じ物体が複数の角度から映り、形状や構造が安定している。
- 背景のパース:カメラが移動しても建築物や空間の位置関係が一貫している。
- 反復する物体の描写:同じ形状の物体が多数登場し、動きや配置に一定の規則性が見られる。
ただし、これらはあくまで判断の手掛かりだ。熟練したアニメーターによる手描きでも立体感や連続性は表現できるし、CGも最終的には加工や合成によって手描きのような見た目に調整できる。
一枚の静止画だけを見て、手描きかCGかを断定することは難しい。制作スタッフの証言や公式の制作資料と照らし合わせることが、より正確な見分け方になる。
作画の良し悪しを判断する5つの基準
作品の作画を比較するときは、次の5項目を意識すると評価しやすくなる。
- 動きの自然さ:身体の重心、関節、剣の軌道が自然につながっているか。
- キャラクターの芝居:表情や目線、動作から感情が伝わるか。
- 空間の整合性:キャラクターと背景の位置関係が分かりやすいか。
- エフェクトとの一体感:技の演出がキャラクターの動きや攻撃の方向と一致しているか。
- 撮影と色彩:光、影、色の変化が場面の雰囲気や物語を支えているか。
この基準を使うと、単に「絵がきれい」という感想から一歩進んで、なぜそのカットが印象に残るのかを具体的に説明できる。
鬼滅の刃の作画を楽しむならどこを見るべき?
アクションが好きな人は、遊郭編や無限城編第一章の戦闘シーンに注目するとよい。キャラクターの移動、攻撃の速度、エフェクトとカメラワークの連携を比較できる。
映像技術に関心がある人には、立志編第26話の無限城や、無限城編第一章の背景表現がおすすめだ。3DCGによる空間設計と、手描きのキャラクターがどのように同じ画面に収まっているかを観察すると、制作の工夫が見えてくる。
一方、キャラクターの表情や心理描写を重視する人は、戦闘中の顔の変化や、戦闘前後の静かな芝居にも注目したい。派手なエフェクトがない場面にも、作画スタッフの技術が表れている。
鬼滅の刃の作画を評価する際に最も避けたいのは、CGだから手抜き、手描きだから高品質という単純な判断だ。どちらの技術も目的に合わせて使われており、最終的に映像として何を実現できたかが重要になる。
【鬼滅の刃の作画】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:鬼滅の刃の作画はすべて手描きですか?
A1:すべて手描きではない。ufotableは手描き作画と3DCGを組み合わせて制作している。キャラクターの表情や芝居には手描きを生かし、建物や背景、複雑な空間表現などにはCGを活用する。両者を組み合わせることで、映像の品質と制作効率を両立している。
Q2:鬼滅の刃の作画が特にすごいのは何編ですか?
A2:評価するポイントによって異なる。水の呼吸などの独自表現を楽しむなら立志編、光と爆発を使ったアクションなら遊郭編、立体的な空間演出なら無限城編第一章が見どころだ。単純な順位ではなく、作品ごとの演出の違いを楽しみたい。
Q3:鬼滅の刃の作画を担当している中心スタッフは誰ですか?
A3:『無限城編 第一章』では、監督が外崎春雄、キャラクターデザイン・総作画監督が松島晃、撮影監督・フィニッシング演出監督が寺尾優一、3D監督が西脇一樹、色彩設計が大前祐子となっている。それぞれ異なる専門分野から映像制作を支えている。
Q4:水の呼吸のエフェクトはCGで作られていますか?
A4:CGによる試作や検討が行われている。寺尾優一と西脇一樹の制作インタビューによると、3ds Maxによるビジュアルの試作を作り、浮世絵風の表現を研究したうえで、作画とCGの役割分担を検討した。すべての水のエフェクトが同じ方法で制作されているわけではない。
Q5:無限城編第二章の公開日は決まっていますか?
A5:2026年11月6日時点で、具体的な公開日は公式発表されていない。2026年2月21日のufotableプロモーションリールでは第二章がFuture Projectsとして紹介されたが、公開時期や正式な副題などは別途公式発表を待つ必要がある。
まとめ:鬼滅の刃の作画を支えるのは手描きとCGの高度な融合
『鬼滅の刃』の作画が高く評価される理由は、単に美しい絵を描いているからではない。キャラクターの芝居を支える手描き作画、立体的な背景を構築する3DCG、映像を一つにまとめる撮影、作品の印象を決める色彩設計が、緻密に連携しているからだ。
特に、寺尾優一と西脇一樹が明かした制作工程からは、CGが手描き作画を置き換えるのではなく、手描きの表現力を引き出すために使われていることが分かる。松島晃によるキャラクター表現の統一や、外崎春雄による作品全体の演出も欠かせない。
2019年の立志編から2025年の無限城編第一章まで、作品はそれぞれの物語に合わせて映像表現を発展させてきた。2026年には第一章の映像ソフト発売やテレビシリーズ全編再放送も実現し、ufotableの制作技術を改めて振り返る機会が広がっている。
【プロの結論】鬼滅の刃の作画を正しく評価するには、手描きかCGかという分類だけでなく、キャラクターの感情、動きの説得力、背景の奥行き、撮影による光と色の調整までを見る必要がある。技術を誇示するための映像ではなく、物語をより深く伝えるために技術を使っていることこそ、ufotableの映像づくりの大きな強みだ。
無限城編第二章で、この制作体制がどのような新しい映像表現を生み出すのか。第一章までの進化を振り返りながら、今後の公式発表と作品の展開に注目したい。
主な根拠資料・情報源
- ufotableの制作スタッフによる技術インタビュー(オートデスク AREA JAPAN)
- 無限城編第一章の公式スタッフ・キャスト情報
- 鬼滅の刃公式ポータル・作品年表
- 2026年の上映終了・映像ソフト発売情報
- 2026年ufotable公式プロモーションリール
- 第一章の興行成績・映画レビュー (出典: 鬼 滅 の 刃 作画(Yahoo!ニュース))